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呑みすぎた男が語る禁酒論

2012年5月25日(金)

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 福岡市の市長が禁酒令を発令したというニュースが話題になっている。

 正確には「禁酒令」ではない。いくらなんでも、21世紀の市民社会で、そんな無茶なおふれを出すことは不可能だ。
 実際のところは、
《福岡市の職員2人が飲酒後に暴行や傷害容疑で逮捕される事件があり、福岡市は21日、全職員約9600人と教員を対象に、外出先での飲酒を1カ月間自粛するよう求める通知を出した。――後略――》日本経済新聞5月21日版

 ということだ。

 誰であれ、勤務時間外に酒を飲む行為を禁じることはできない。法的な根拠は皆無だ。だから、この「通知」はあくまでも私的な「要請」に過ぎない。

 そう考えれば、たいした話ではない。市長のちいさなお願い。本来なら文末にハートマークをつけて同報メールを打つのがせいぜいだ。どうせ強制力なんかありゃしないのだからして。

 が、市長は本気だ。
 その証拠に、「禁酒要請通知」にあわせて、飲酒による不祥事を起こした際の懲戒処分を厳罰化する方針を表明している。わざわざ昼の時間帯のワイドショーに電話出演して、この度の「要請」を、事実上は、「命令」として受け止めてほしい旨を強調していたりもする。
 私は、偶然、その場面を見ていた。市長は、「職員の皆さんは公務員の本分を守ってほしい」と、真剣な口調で訴えていた。

 スタジオは、妙な空気になっていた。
 そうだろうとも。
 コメンテーターの先生方とて、こんな奇天烈な話にツッコミを入れてわざわざ墓穴を掘りたいとは思わない。
 そもそも他人の禁酒はスジが悪い。ツマミにもなりゃしない。
 だとしたら、放置するに限る。
 少なくとも生焼けの間は、手を出さない。
 もう少し盛大に炎上してから料理すれば良い。

 たぶん、そう思っていたのだろう。誰も引き取るコメントを口にしなかった。賢明な態度だ。私が現場にいたとしても、片頬に軽い笑みを刻む以上の反応はしなかったと思う。あまりにもくだらない。

 ちなみに、禁酒の期間は6月20日まで。対象職員は約8500人。市の教育委員会も職員や教職員約9200人に要請する方針で、全体では約1万7700人に上る。仕事上の酒席でも飲酒は認めないという(自宅はOK)。

 ということは、一万数千人の公務員が、1カ月の間、夜の巷と縁を切ることになるのだろうか。
 とても、現実の話とは思えない。

 これが、ドン・ガバチョだとかが市長をやってる架空の物語の中の話ならオチのつけようもある。落語には禁酒がらみのバカな話がいくらもあって、「禁酒番屋」に出てくる番屋の役人は最終的に小便を飲まされることになっている。でも、このたびの話はリアルだ。市長に何かを飲ませて落ちる話でもないし、そもそも行政の目的は話を落とすところにあるわけではない。

 酒を飲み過ぎるのは良くないことだ。
 飲酒運転はもっと良くない。
 酒の上での暴行事件にいたっては言語道断である。
 そんなことは小学生でも知っている。

コメント98件コメント/レビュー

コラム意見に反対派です。文中の例でいうと、ノハラさんが酔って客に怒鳴ったり、殴ったりを繰り返す→社長「おまえしばらく酒飲むな!!」って事だとおもってます。あ、いつも楽しく読んでます。これからも書き続けてください。(2012/06/04)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「呑みすぎた男が語る禁酒論」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

コラム意見に反対派です。文中の例でいうと、ノハラさんが酔って客に怒鳴ったり、殴ったりを繰り返す→社長「おまえしばらく酒飲むな!!」って事だとおもってます。あ、いつも楽しく読んでます。これからも書き続けてください。(2012/06/04)

同意できないね。たった「1か月」「外で」「酒を飲まない」だけのことでしょう?そんなの全く難しくない。福岡職員もそれくらいのアピールや反省の態度を示すことは、必要だと思いますよ。まあ、オダジマさんが辛抱のできない人で、ヘリクツが得意で、強制されるのが嫌いで…というのは分かっていて、このコラムを毎回読んでいるので別にいいですけど。(2012/06/01)

皆さんのコメント拝見しましたが、大方今回の記事にはNGですね。私も、小田嶋さん崇拝派ですが同感です、今回はキレがないですね。私も飲酒については人一倍問題を抱えており、擁護もしたいし排除もしたい。告白しだしたら1日では終わらないことだからこそ、軽めに済ませてしまった感があります。(だったら、やっぱりあえて書かなくても良かったのかも。)飲酒でも刺青でも、例えば昔はよく話題になったピアス、またアロマだってドラッグだってセックスだって、成人にとって、自分が「行うこと」そのものは人から規制されるものではない。問題は、それが「人にどういう影響を及ぼすか、迷惑をかけるか否か」の一点でしょう。飲酒とはたばことも同列で語られるようですが、本人に及ぼされる医学的な話はここでは問題ではなく、社会的に人に迷惑をかけることは許されないという意味では、受動喫煙も問題なら、酔っ払って暴力をふるうとか飲酒運転で事故を起こすというのは当然許されない。それを会社、社会、ましてや公共機関では許さないというのは至極当たり前の気がします。刺青も問題になっていますが、「個人行動の自由」と「社会との関わりにおける制約」ははっきり線を引くべきと思います。何をするのも個人の自由。でも、それがひとたび社会とかかわりを持つ瞬間、しない方がよいことがあるというだけです。社会にはいろいろな常習性のある誘惑があって、お酒たばこのみならず風俗、ドラッグ、”公営で”行われているギャンブルだってあり、必要悪として社会はそれを受け入れています。それをやるのは個人の自由。でもそれで人に迷惑をかけてはいけないということです。迷惑とは何か、ルールとは何か、自律とは何か。ヨーロッパと日本とがまだまだかい離している一つのポイントです。この話は医学的な話、社会的な規範と責任論、経済論、政治などあまりにも深いのに、現在はまだ結局個人の精神論、人生観、行動に結びつけられてしまっています。一つ言えることは、少なくとも文明社会日本において、関係ない人に迷惑をかけることはしてはいけない。犯罪被害者にとっては、医学も哲学も社会学も外交も関係ない。つまり福岡市長の判断は、社会的にみればえずまともだと言うことではないでしょうか。(2012/05/31)

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