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フランスで起きた叛乱、ジャックリーの乱

抵抗する[22]

2012年9月27日(木)

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ペストの災厄

 経済的に進んだ農村の大衆と都市の市民との連帯を実現したワット・タイラーの叛乱は、王への愛情と信頼のためについえたようなものであるが、同じ頃にフランスでもかなり似た性質の叛乱が起きている。ジャックリーの乱である。

 フランスでもペストの影響は大きかった。フランスの人口の三分の一はこの黒死病によって奪われたとみられている。この病は「プロレタリアート病」と呼ばれた。自宅にこもって病から防衛することができた人々の死亡率は、中流の人々の死亡率の半分にすぎなかった。栄養不足が病気に追い討ちをかけたのは間違いない。死者の多くは、貧しい階層の人々だった。

 これが階級憎悪をもたらした。富裕な人々は、貧民が伝染病を蔓延させたといって非難し(都市の下層階級の人々の間で被害が大きかったのはたしかである)、貧しい人々は、富裕な人々は自分たちだけが助かればよいと思っていると非難した。「疾病期における階級憎悪」[1]が生まれるのは不思議ではなかった。

 さらにこのどちらの人々からも非難されたのが、ユダヤ人たちだった。カタロニアではユダヤ人たちがペスト菌を撒いたと非難された。そして多くの都市で、ユダヤ人たちは襲撃され、焼き殺された。王権もこうした民衆の不安につけこんで、ユダヤ人の財産を没収していた。王権は、毒を撒き散らすユダヤ人というイメージを利用し、「民衆に満足をもたらす同時に王国の国庫をも満たすことに成功していた」[2]のである。ユダヤ人の迫害は、民衆の抵抗の矛先を逸らせ、怒りや不安を発散させる手段として、有効に活用されたのである。

戦争の災厄

 だだしフランスを襲っていたのは病だけではない、イギリスとの百年戦争も大きな災いをもたらした。一三五六年のポワティエの戦いで、ジャン二世王はウェールズの弓兵隊に圧倒されて、大敗を喫した。みずからは捕虜になり、多額の身の代金の支払いを約束させられた。国王は身の代金の支払いのために、新しい通貨を発行した。それまではエキュ貨幣がフランスの通貨だったが、新たにフラン金貨が発行された。フランだけでなく、「ユリ花銀貨」という貨幣も発行された。

 なにしろものすごい通貨の乱発だった。「一三五〇年から六四年のジャン王在位中、金銀貨とりまぜてだが、なんと一四〇回に近い通貨発行がみられるのである。一年に一〇回である」[3]。フランスの通貨は崩壊した。これでは国家財政は破綻する。一三六〇年発行の「星のグロ貨」は、通貨の信用度が四〇分の一にまで低下していたのである。

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「フランスで起きた叛乱、ジャックリーの乱」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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