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支援から取り残された「県内自主避難者」

深刻な“人災”による二次被害

  • 藍原 寛子

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2012年10月11日(木)

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 10月4日、会津若松市の中心部、市役所にほど近い市生涯学習総合センター(會津稽古堂)の3階和室に、「福島県に県内自主避難の権利を求める会」(酒井信裕代表)の会員約10人が集まっていた。月1回の定例会で、茶菓子と飲み物が置かれたテーブルを囲み、話が弾む。子どもたちは廊下や室内を歩き回ったり、おもちゃで遊んだりしている。子どもを交えての和やかな雰囲気のなか、自主避難者の支援策を模索するNGOや行政担当者らに囲まれて、同会の発起人の一人である渡辺和也さん(42)が、現状を語った。

福島市から会津若松市に自主避難している渡辺さん一家

 「私たち避難区域以外から県内に自主避難した人が避難先で借りたアパートは、『みなし仮設』として借り上げ住宅の適用が認められていない。総務省の全国避難者情報システムにも登録しているのに、依然として市からの通知は避難先に届かない。生活で大変なことがあって行政に要望しても対応してもらえない。福島市や県からみて、私たちはまるで、『どこに住んでいるか分からない』というような存在になっている。県内に自主避難した私たちの思いは本当には理解されておらず、私たちは見捨てられたと思わざるを得ない」

 そしてフウーッと深いため息をつくように、「本当に、私たちは見捨てられたような状態だったんです」と言葉を続けた。

 渡辺さんは現在、震災前まで住んでいた福島市の自宅から西に約90キロの会津若松市で、妻(31)と長男(10カ月)とともに避難生活を送る。渡辺さん一家は事故後、放射能の影響に不安を感じ、放射線量がより低い会津若松市に避難した「県内自主避難者」の一人だ。行政の指示で避難しなければならなくなった地域からの避難ではないため、被災証明や罹災証明など行政が発行した証明書を持っていない。渡辺さんは震災前と同様に介護の仕事を続けているが、職場が福島市内にあることから、現在は片道2時間弱をかけて通勤する毎日だ。

見捨てられた状態の県内自主避難者

 「最初、ここでアパートを借りようとしても、家賃がものすごく高いか、あるいは安くて狭い物件しかなかった。福島の自宅のローンも払わなくてはならない。県に問い合わせたら『山形や米沢に避難したら、支援を受けられます』と言われた。行政にとって『自主避難』といえば『県外への自主避難』の枠組みしかないというように感じて、県内に自主避難した私たちのような立場の家族は、本当に見捨てられたような状態だった」

 渡辺さん一家が避難を検討した当時、福島県内の家族向けの賃貸アパートは主に避難区域からの避難者向けみなし仮設の対象となっており、それ以外の人が借りることは極めて難しく、物件も少なかったという。

 こうした状態が発生したのには、災害救助法の「適用」と、福島県における「運用」の違いがある。

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