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先駆的な宗教改革のさびしい成果

抵抗する[25]

2012年10月18日(木)

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叛乱の方向性

 さて、カトリックの教義に抵抗して、パンとワインの二重の聖餐を主張する聖杯派はボヘミアで強い勢力を伸ばし始める。ボヘミアでの叛乱は、都市から農村へという方向性と、貴族から民衆への方向性という二つの軸で進み始める。

 後のイギリスの市民革命がそうだったように、この叛乱では貴族から穏健派、穏健派から急進派へと次々と権力の中心が移行しながら進む。あたかも革命が内的な運動の原理として、次々と革新的でラジカルな理論を生み出すかのようである。

貴族の叛乱

 最初は叛乱の中心になったのは貴族たちである。封建制の名残と、分権的な権力のありかたが強いドイツやチェコの地方では、貴族が自分の領地で宗教を決定すれば、その領地ではその宗教が公認されることになる。後のドイツの宗教改革では、一五五五年のアウクスブルクの宗教和議において、その土地の宗教は領主が決定するようになるが、ボヘミアにはその素地があったのである。

 たとえば東ボヘミアから南ボヘミアにかけて広大な領地をもっていたロジュンベルク家は、教会会議を開催して、一四一七年にはすべての聖職者に二種聖餐の実施を命令し、それにしたがわない聖職者は役職を失うことになった。さらに小規模な領主たちも、次々とこれにならうようになった。

 領主である貴族がこのような決定を下した背景には、地元の教会にたいする支配を強化したいという意図があっただろう。ドイツには私有教会の伝統が強く残っている。地元の貴族が自分の領地に自分の費用で教会を建設した場合には、貴族がこの教会の司祭の任命権を保有することが多かった。家族の一員を司祭にするのであり、これが私有教会と呼ばれた。カトリックはこの習慣を否定しながら、支配権を確立してきたのである。そこでカトリックと異なる礼拝を採用することは、貴族にとって教会への支配権を回復する重要な手掛かりとなったのだった。

 また、すでにプラハ大学のボヘミア化で確認した民族主義の傾向も重要な役割をはたしたに違いない。自分たちの支援していたフスが殺害されたことは、ボヘミア民族主義への抑圧であり、否認であるとみなされたのである。

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「先駆的な宗教改革のさびしい成果」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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