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成長による嫉妬の解消

嫉妬する[2]

2012年11月1日(木)

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成長による嫉妬の解消

 嫉妬を克服する第三の道は、三角関係の「わたし」の項にかかわるものである。わたしが変わればいいのである。しかしどう変わるのか。わたしはあなたを愛の対象としなければいいかもしれない。その場合には、第三者として、「あなた」と「あいつ」の愛情関係を冷たいまなざしで眺めることができるだろう。しかしこれはいうほどに簡単なものではない。失恋した男に、もっといい女性に出会うさと慰めても、あまり効果はないものだ。

 しかしもっと別の形で変わることもできるかもしれない。それは「わたし」が成長すればよいのである。この嫉妬の感情からの成長こそが、人間が幼児の段階から繰り返してきたものであり、その人物の性格そのものを作りだすものである。

 というのも、誰もがこの嫉妬の嵐をやりすごすことを学ぶことで成長してきたからである。この嫉妬はそれほど根源的なものなのだ。まず最初の三角関係は、ぼくとパバとママのあいだで生まれる。ぼくは生まれたときに、ママの愛情を独占することができた。そもそもライバルがいるなどということは知らないのである。

 しかし成長するとともに、ぼくとママのあいだに、別の人物が登場する。それが父親である。この父親もぼくを愛してくれる。ママとは違い形での愛をぼくは経験することになる。ただしもっと意外なことも経験する。ママはぼくだけではなく、父親も愛しているのである。ぼくはママの愛を独占していると信じていたのに、それは全的な愛ではなく、部分的な愛だったのである。そこで嫉妬の感情が生まれる。これは避けがたいものである。

 そして弟や妹が生まれれば、ママの愛はさらにぼくから奪われていく。少年の嫉妬はさらに激しくなるだろう。しかし少年は自分の嫉妬を克服することを学ばなければならない。母親を独占することはできないからである。

エディプス・コンプレックスの克服

 フロイトによるとこのプロセスは次のような道をたどる。「ごく早い時期に、母に対する対象備給が発展する。これは最初は母親の乳房にかかわるものであり、委託型対象選択となる」[1]。委託型対象選択とは、幼児のときに育ててくれた人物のイメージによって、愛情の対象を選択することである。幼児は母親を愛する。

 一方では少年は、育ての親であり、母親とは違う形で自分を愛してくれる父親にたいして、少年は自然に同一化の姿勢をとる。父親に憧れるのだ。しかし父親と母親の愛情関係が自覚されてくると、少年は父親にたいして、両義的な感情を感じるようになる。まず少年は母親の愛情を独占したいと願うようになる。すると父親は自分が同一化するような人物としてではなく、ライバルとして意識されるようになる。

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「成長による嫉妬の解消」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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