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園子温監督が原発事故を映画にする理由

「希望の国」を撮るのに覚悟がいる日本

  • 日経ビジネス編集部

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2012年12月13日(木)

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園子温(その・しおん)
映画監督。1961年愛知県生まれ。17歳で詩人デビューし、1987年に「男の花道」でPFFグランプリを受賞。近作では、東日本大震災後の世界を描いた「ヒミズ」(2012年)が大きな話題を呼び、第68回ヴェネチア国際映画祭で主演の二人にマルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした。今年10月には原発問題に切り込んだ最新作「希望の国」を公開。自身の破天荒な人生をまとめた『非道に生きる』(朝日出版社)も刊行し、DVD-BOX「園子温 監督初期作品集 SION SONO EARLY WORKS:BEFORE SUICIDE」も発売中。

 東日本大震災の直後に急遽脚本を書き換え、いち早く被災地で撮影し震災を映画に取り込んだ「ヒミズ」(2012年1月公開)。そして原発問題に翻弄される家族を描いて目下大きな反響を呼んでいる「希望の国」(全国公開中)と、3.11を受けた作品を驚異的なスピードで立て続けに公開した園子温(その・しおん)監督。

 「いま、表現としての誠実さが問われている」。園監督は、この秋話題になったNHK・ETV特集(9/30放映「園子温と大震災」)の中でそう言い放ちました。そのときの対談相手は、こちらも「物議をかもす」ことで有名な6人組のアーティスト集団・Chim↑Pom(チン↑ポム)。

 Chim↑Pomは、福島第一原発事故の1カ月後に原発から至近距離の展望台に登り、白旗を日の丸に変えて、さらに放射能マークに改変した旗を振る作品(「REAL TIMES」)を制作。東京・渋谷では岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」に原発事故の絵を付け足して大きな議論を巻き起こしました。

 映画とアート、それぞれ立場は違えど、「3.11以降の表現」をいま最も先鋭的な形で突き詰めていると言える両者。政治や報道が「できない/やろうとしない」ことを、皮肉にも、映画やアートが実現し可視化しなければならない状況は依然として続くのでしょうか。

非道に生きる
道なき道を疾走してきた園子温の「映画のような」人生を自ら語る

 社会と真正面から切り結び、人にリアルタイムに伝える。忘却にあらがって考える。この覚悟は何も芸術表現にだけでなく、個々人の生き方にこそいま問われているのではないか? 園監督の著書『非道に生きる』(朝日出版社)刊行と映画「希望の国」公開を記念して再び行われたChim↑Pom(リーダーの卯城竜太さんと紅一点のエリイさん)との対談を公開します。

2012年10月13日テアトル新宿「園子温、非道のオールナイト(第1夜)」(『非道に生きる』刊行記念)にて収録

Chim↑Pom(チン↑ポム)
2005年、卯城竜太・エリイ・林靖高・岡田将孝・水野俊紀・稲岡求の6名で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品で知られる。東日本大震災をきっかけに開催した「REAL TIMES」展(2011年5月)では、岡本太郎の壁画《明日の神話》に福島第一原発事故の絵を付け足した作品も展示し話題となった。『美術手帖』や「ひっくりかえる」展といったキュレーションなども行う。著書に『SUPER RAT』(パルコ)『芸術実行犯』(朝日出版社)『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、河出書房新社)など。

写真左から園監督、エリイ氏、卯城竜太氏

エリイ:このあいだ、園さんの「愛のむきだし」(※注1)を朝5時から9時まで観ちゃいました。大好きで、何回も観ちゃう。これで3回目だから、計12時間、愛をむきだしている(笑)。(卯城)竜太は、園さんの映画では「ヒミズ」(※注2)が好きなんだよね。

卯城:うん。僕は映画チャンネルが好きで、一日にほぼ一本ずつ見ているから、年間だと数百本は観ていると思うんですけど、「ヒミズ」はこの1、2年でも一番心にキた映画でした。

ヒミズ

1:2009年公開。上映時間237分。長尺のため劇場公開時はインターミッション(途中休憩)が挟まれた。第59回ベルリン国際映画祭において「カリガリ賞」と「国際批評家連盟賞」をダブル受賞。

2:2012年公開。上映時間130分。クランクイン直前に東日本大震災が起き、脚本を大幅に変更。震災後の世界に設定し直した青春映画へと書き換えられた。主演の染谷将太と二階堂ふみは、本作で第68回ヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞。

エリイ:ラストシーンの「頑張れ!頑張れ!」っていうのがね。

:そう思ってくれたのは、震災のあとChim↑Pomがずっと福島と関わってきていて、問題に対しての温度が高いからだと思うんです。

「原発を扱うなら、もっとじっくり構えるべきだ」とは?

:というのも今日の昼間、早稲田大学で「希望の国」(※注3)を上映する機会があったんだけど、イベントのあとに学生から「もっと危ない感じの映画かと思っていた」という意見があったようで。でも、そういう作品を必要としているのは、実は東京の人なんです。

3:2012年10月公開の、園子温の最新作。福島第一原発事故から数年後、架空の県「長島県」で再び起きた原発事故によって生活を奪われる、ある家族の姿を描く

 だから、「希望の国」や「ヒミズ」のような映画こそ、「被災地」とそれ以外の場所との温度差が分かっている人に見てもらわなければ、とてつもない勘違いをされそうで怖い。映画評論家にさえ「なんでもっとじっくり腰を据えて『希望の国』を撮らなかったんだ」と言われましたけど、「あなた……原発がもう現実に爆発しているんですよ……?」と問い返したい。

 映画ファンというか、映画しか観ていない人には、「希望の国」や「ヒミズ」が社会に対して急いで投げかけた作品だということが理解できないんでしょうね。こうした構図は、Chim↑Pomの作品に対しても同じでしょ。作品の持つ速度のようなものが受け止められなければ、価値の分かりにくい作品になっているもの。

希望の国 2012年/133分 全国上映中。出演:夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵ほか(C)2012 The Land of Hope Film Partners

卯城:そうですね。いきなり感想を言わせてもらうならば、「希望の国」は、たしかに園さんらしからぬ部分もあった。だけどその一方で、これは園さん以外にやる人がいない映画だとも思いました。僕は、さきほどの温度差の話も含めて、「希望の国」のそうした「あえての感じ」が心に刺さったんです。

:震災後、「3月11日がたしかにあった」ということを思いながら表現する人と、「それはまぁ置いておいて……」という人と、ふたつに分かれたということなんでしょうね。

エリイ:でも「置いておく」って、そんなことはできないんじゃない?

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