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“懲罰”できるほど、われわれは偉いのか?

2012年12月21日(金)

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 選挙の翌日、開票結果の全容が明らかになった時点で、私は以下のような感想をツイッターに書き込んだ。

「自民党が大勝したのは痛恨だけど、民主党の惨敗はざまあみろだから、今回の選挙はオレの中では一勝一敗の五分だよ。」

 たわけた言説だと思った人は正解。これは、理屈になっていない。モロな自家撞着だ。

 とはいえ、冗談にまぎらせてはいるものの、このコメントは、私の本心ではある。
 つまり私は、自民、民主のいずれにも肩入れをしていなかったわけで、そういう無党派の人間からしてみると、上に挙げたツイートは、明らかな矛盾をはらんでいながら、それなりに正直な感慨なのである。

 本来であれば、選挙の結果に対して、有権者は、自分の支持政党の勝利なり敗北に応じた受け止め方をするはずだ。

 自民党を支持していた人間にとって、今回の開票結果は喜ばしいものであったはずだし、民主党を応援していた人間は、まったく逆に、この度の結果に落胆せねばならない。

 ところが、私の知る限り、かなり多くの人々が、アンビバレントな感慨を表明している。

「一言で言ってどうだった?」
「一言じゃ言えないよ」
「強いて言うなら『ヨロコワい』ぐらいか?」
「『ザマ悔しい』という感じもあるな」
「オレは『オザい』にしとく」
「『閣下掻痒』ぐらいでいかがでしょうか」

 メディアの論評も然りで、民主党の敗北を「必然」としながら、自民党の勝利を「本当の支持ではない」と決めつけるタイプのコメントが各所で大手を振るっていた。

 これって、変ではないのか?

 私自身の感想が、スジの通らない「一勝一敗」のヌエ的なジョークに着地してしまったのは、キャラクター的に仕方がない(って、自分で「仕方がない」というキャラもどうかとは思うが)のだとしても、専門家を自任するコメンテーターが、一方の敗北を確認していながら、もう一方の勝利を認めていないのはアンフェアではないか。

 もしかして、きょうびの選挙は、敗北だけがあって、勝者のいない戦いなのだろうか。

 思うに、私を含めた無党派層の多くは、これから先しばらくの間、自分たちが政治に対して真摯な関心を抱いてこなかったことへのしっぺ返しを受けることになる。気まぐれに買い求めた安物の調理器具でやけどをしたり、たいした覚悟もなく始めた習い事にスケジュールを圧迫されたりというお話は、われわれの日常にありがちな失敗談だが、相手が政治ということになると、支払うべき軽率へのコストは高いものにつく。われわれはそれを覚悟せねばならない。

 今回は、どうして私が政治に興味を持てなかったのかについて書いてみることにする。

 いまここで私は「われわれ」という主語を使うことを自粛したのだが、かなり多くの読者にとって、私の問題は共有されていると思う。私たちは、ずっと長い間、政治にうんざりしてきた。のみならず、政治家を軽視し、嘲弄し、笑いものにしてきた。そのことの結果は、投票率の低さと、投票行動の極端さの両方にあらわれている。で、この先、政治不信の結果は、ほかならぬ政治の混迷という、よりやっかいな現実として立ちはだかることになるだろう。

 有権者が政治を軽視しているということの意味は、単純に興味を持っていないというだけではない。

 より重要なのは、われわれが政治に携わる人間を軽蔑していることだ。

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「“懲罰”できるほど、われわれは偉いのか?」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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