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浮世の義理はヘイトデモより強し

2013年4月5日(金)

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 3月の下旬に、とある筋から依頼されて、新大久保の反韓デモに向けたメッセージを録画した。

 私は、元来、この種の社会的な活動には関与しない主義(←いや、「主義」などという言い方で正当化するのはやめて、ここは一番、「自分はめんどうくさいことが嫌いな性質だ」と、断言しておくことにする)なのだが、今回は特別に顔を出した次第だ。

 メッセージ動画は、1分間と定められていた。
 1分間というのは、実際にしゃべってみると、いかにも短い。
 用意してきた原稿を読み上げると、どう読んでも3分以上になる。
 で、当日は、話題を1点に絞って

「『出て行け』という言い方はひどいと思うよ」

 という内容のみを訴えた。

 ツイッターの@欄(「リプライ」と呼ばれる、名指しのメッセージが寄せられる場所)は、3月31日になって、ビデオメッセージが新大久保の路上で再生されるや、様々な意見であふれかえった。

 いくつかについては、反論したり、礼を述べたりもしたが、大半の書き込みは、無視した。返事もしなかった。読んだという旨を伝えるメッセージも書きこまなかった。

 今回は、それらの書き込みへの返事のつもりで、私が、昨年来繰り返されている一連の在特会による新大久保デモについて、現状で考えていることを書くつもりでいる。

 私の考えは、一本の系統だった論考としてまとめ上げるには、錯綜し過ぎている。
 こんな断片的な思いつきは、ツイッターに吐き出すぐらいがせいぜいで、かりそめにも(←皮肉ではありません)原稿料をいただいている媒体に掲載するべきではないのかもしれない。

 が、私は、断片は断片として、書きとめておく価値があると考えている。
 なぜなら、この問題がこじれているのは、人々が曖昧な意見や矛盾した見解を述べているからではなくて、逆に、多くの人々が沈黙しているところに原因が隠れていると思っているからだ。

 曖昧でも不徹底でも、多様な意見が集まれば、事態はそんなに極端な方向には流れない。
 ところが、現状は違う。
 東アジアをめぐる民族問題は、賢い人たちがだんまりを決め込んでしまっている結果、直情的な人間だけが発言する、末期プロレス的な状況に陥っている。

 自分が「賢い人」だと言うつもりはないが、少なくとも私は、曖昧な意見を述べることのできる人間だ。
 いま、この問題とって必要なのは、旗幟鮮明だったり論旨明快だったりする意見ではなくて、曖昧な意見である以上、私の言葉は、それなりの価値を持つはずなのである。

 民族問題は、ただでさえ、多様な切り口と不定形なとっかかりを持った、きわめて扱いづらい論題だ。その意味では、考えがまとまっていることの方が、むしろ不自然なのだと思っている。

 つまり、この種のタームについて語る以上、大上段の構えから、理路整然と進行し、きれいに着地する論文は、かえって信用できないということだ。なぜなら、明快で切れ味の良い論理は、執筆段階で書き手の内部にわだかまっていたはずの「迷い」や「疑問」のような要素を、すっぱりと切り落としてかからないと(まあ、論理の力で曖昧さを排除するてなこともあるのでしょうが)構築できないものだからだ。

 というわけで、以下、未整理のまま、箇条書きのつもりで書き進めることにする。

 最初にはっきりさせておきたいのは、私が、韓国ならびに北朝鮮の政府や人民を擁護する目的でこのテキストを書くのではないということだ。朝鮮半島の人間が聖人君子ぞろいだとか、韓半島由来の文化が日本のそれより断然優れているとか、両政府の対日政策が戦後一貫して理性的かつ適切であったとか、「無慈悲に」「容赦ない」という強調表現のセンスがすばらしいとか、私は、そういうことを言おうとしているのではない。

コメント80件コメント/レビュー

あなたの意見、好きですよ。日本の品格を落とすのは悲しい事です。(2013/04/08)

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「浮世の義理はヘイトデモより強し」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

あなたの意見、好きですよ。日本の品格を落とすのは悲しい事です。(2013/04/08)

小田嶋さんのコラム、私は普段はあまり共感できないのですが、今回は完全に同意見です。行きすぎたデモは、まるで反日分子が中で煽っているのでは無いか(彼らの行動の正当化の為)と思ってしまうくらいです。彼の国の非正当性を主張したいのであれば、何もかも嫌韓よりも問題を明らかにすべき。騒ぎを大きくして問題を有耶無耶にしてしまおうとしているのか?と思ってしまいます。(2013/04/08)

参考にはなりましたが、わかっていませんね(笑)。まぁしっかり応援してくれちゃってますが・・(彼らの言葉で”燃料投下”と言います。)。これに関しては猪瀬知事が良い返答をしています。「民間人に暴力を振るえば、行きすぎですが、そういうわけではないので、都は介入できません。」如何でしょう?良い答えですよね。これで良いんですよ。批判も非難も擁護も、全て同じです。この不安定な時代を、もっと楽しみましょう。(2013/04/08)

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