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東京はバスで夜遊びする街です

2013年4月19日(金)

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 ニューヨーク訪問中の猪瀬直樹東京都知事が、現地での講演の中で、年内に都営バスを24時間運行させる旨を表明したのだそうだ(リンクはこちら)。

 記事を読むと、知事は、第一歩として、今年のクリスマスまでに、六本木~渋谷間での24時間運行を実現させるつもりでいるようだ。

 あえてニューヨークで発表したところに、強い「意思」を感じる。
 というのも、政治家がニューヨークという土地で、現地の記者に向けて語る言葉は、そのまま国際社会に向けたメッセージとして受けとめられるわけで、知事自身も、そのことを十分に意識していたはずだからだ。

 外地での政策発表は、慣例上、引っ込めにくい。その意味で、知事は「背水の陣」を敷いたことになる。自ら「外圧」を作ってみせたという言い方もできる。
 いずれにせよ、不退転の決意を感じさせる態度だ。

 最初の実施区間として、六本木・渋谷間といういかにもちっぽけな路線を指定したことも、「なんとしても実現せずにはおかない」という知事の強い思いを裏書きするものだと思う。

 とはいえ、六本木と渋谷の間に深夜バスが走ったところで、さしたるインパクトがあるようには思えない。

 なにより、距離が短すぎる。
 この程度の距離なら、タクシーに乗ってもたいした料金ではない。利便性の上でも、渋谷では帰宅先にはならない。

 利用者も想定しにくい。
 そもそも終電過ぎに六本木あたりで遊んでいる皆さんが、バスを利用するものだろうか。深夜3時に都営バスなんかに乗ったら、せっかくの遊興気分が台無しになるんではないのか? 

「深夜バスに揺られているオレたち」

 みたいなセルフイメージに、彼らは、果たして耐えられるのだろうか?

 百歩譲って、六本木ピープルが、こだわりなく路線バスを利用するオープンマインドなコスモポリタンであったのだとして、だ。でも、行き先は渋谷だろうか。
 逆に、深夜の渋谷にいる人間が、なんの目的でわざわざ都営バスに乗って六本木に移動するのだろうか。何をしに行くんだ? 意味がわからない。 

 かように、効果において疑問の残るこの度の24時間運行計画を、知事サイドが、当然予想される都営交通の組合の抵抗や、タクシー業界の反発を押しのけてなお、唐突かつ拙速に実現させようとしている理由は、単に六本木族の歓心を買うためではない。行く先に、もっと大きい目標があるからだ。そう考えないと辻褄が合わない。

 目標が遠大だからこそ、彼らは、どんなに小さな一歩であっても、とにかく最初の一歩を踏み出すことに拘泥しているわけで、それゆえにこそ渋谷・六本木間という手近なハードルが選ばれたのである。

 その目標とは何だろうか。

 すでに様々な憶測が広がっている。

「オリンピック誘致に向けてのアドバルーンじゃないのか?」
「カジノ自由化あたりをにらんだ布石だと思うよ」
「目に見えやすい成果を打ち出してみせて、デキる知事をアピールしたいってことだろ?」

コメント53

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「東京はバスで夜遊びする街です」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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