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「負けると分かっていても戦う」理由

2013年5月17日(金)

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 橋下徹大阪市長が、「従軍慰安婦は必要だった」という主旨の発言をした件については、既に、様々な論客が、それぞれの立場から論評を加えている。

 当サイト(日経ビジネスオンライン)にも、5月16日更新分のエントリーで、慎泰俊さんが行き届いた記事をアップしている。こういうものを読んでしまうと、私のような者が、余計な言葉を付け加える気持ちにはなりにくい。

 なので、当欄では、市長の発言そのものよりも、橋下さんの「態度」に焦点を当てて、事態の経緯を見直してみるつもりでいる。私としては、橋下市長の、常にも似ない頑なな態度の裏にあるものが、少しでも見えてきたらうれしいと思っている。

 とは申すものの、橋下さんが、今回に限って、なにゆえにかくも頑固であるのかについては、私自身、現時点で、納得の行く説明を見出し得ているわけではない。当稿を通じて、解答に到達できれば万々歳なのだが、それがかなわなくても、市長の発言の周辺にある事情を洗い直すことができれば、最低限の仕事は果たせると考えている次第だ。どうかひとつ、そのつもりで、ゆるゆると読んでいただきたい。

 発言は、不適切かつ無神経だった。
 ご本人は「昔の話だ」と断った上での発言で、現在は(慰安婦を)容認できないと考えている旨も併せて述べた、と言っている。

 弁明の趣旨は理解できる。発言を切り取られた点についても、おっしゃるとおりだと思う。

 とはいえ、公党の代表であり大都市の市長である立場からして、また、歴史認識についての言葉であるという文脈からしても、「必要だった」という部分を切り取られて論評されることは、覚悟しておかねばならない。とすれば、市長の発言は、やはり総体として軽率であり、粗雑だった。

 いくつかの海外メディアは(というよりも、ある時点から後「主要な海外メディアは」)、「従軍慰安婦」の訳語に「Wartime Sex Slave」という訳語を当てている。

 非常に強い意味を持った用語だ。
 彼らが書いた記事をもう一度日本語に翻訳し直してみると
「大阪市長は、『戦時性奴隷は必要だった』と述べた」
 ということになる。

 あらためて日本語にしてみて、いくらなんでも悪意のある記事だと思う人も多いはずだ。
 私自身、この訳語には違和感を禁じ得ない。

 そういう意味では、現在、海外に配信されている記事(少なくとも私がざっと読んでみた英語ベースの記事)には、記事を書いた人間の、恣意的な「意図」が反映していると言って良い。

 とはいえ、その「意図」は、必ずしも「日本を不当に貶める」とか、「橋下市長の政治的失脚を画策する」といった陰謀的なものではない。むしろ、より単純に、わが国の政治思潮の右傾化への「警戒感」を反映しているはずだ。要するに、日本の現状について記事を書く役割を担っている海外メディアの記者たちの心中には、昨今の日本の政治状況の強硬化ないしは右傾化を懸念する気持ちが共有されているということだ。

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「「負けると分かっていても戦う」理由」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長