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失語からの恢復を助ける漢字

忘れる[4]

2013年5月30日(木)

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ウェルニッケ失語

 前回は、聴覚神経の障害で発生する失語である「皮質下性感覚失語」を検討した。この聴覚神経は聴覚連合野に集まって処理される。このうちの感覚言語中枢(ウェルニッケ中枢と呼ばれる)に障害が発生すると、さらに深いレベルでの失語が発生する。これは「皮質性感覚失語」と呼ばれる。

 この失語の症状は、「言語の聞き取りと理解、復唱が障害される。自発語は豊富であるが言い誤りが多く、内容的には相手に伝わりにくい」[1]とされている。この失語の大きな特徴は、自発語が頻繁に語られるのに、他者とのコミュニケーションがまったく成立しないことにある。一見すると、流暢に話しているようにみえるが、患者とのコミュニケーションは成立していないのである。それはどうしてだろうか。

症例一

 具体的な例で考えてみよう。患者に話しかけると、患者はごくふつうな感じで答えてくる。

――調子はいかが?
 「あのね、……あの、これ……すって…、そうね…ほんとにも、あの○○ったもんね」。

――何かあったのですか?
 「あったんです。あの…えーと、○○で○○って…あの……○ね、あの、なんだか○○ですね……あの○○です」 [2]

 このような調子でずっとつづくのである。○○のところは音が崩れていて聞き取れない部分である。何が起きたのか、調子はよいのか、まったく理解できない。会話のパターンだけは残っているが、コミュニケーションは成立していない。そして問題なのは、「自分に発話内容に異常がある、ということに気づいている気配はまったくありません。おそらく、本人は言いたいことを伝えているつもりなのです。聞き手もなんとなく相手の伝えようとしていることがわかるような気はします。しかし、実際には何もわかりません」[3]というところにある。

言葉の自走

 この失語のメカニズムは、「言葉が自走する」[4]ところにあるという。患者の聴覚連合野に異常が発生している。それでも脳の内部の概念構造と、運動記憶は保全されている。自分で何かを考えて、それを口にする、話すことはできるのである。しかし自分の話した言葉は聞こえていない。話した言葉は一度自分の耳から聞かなければならない。しかし脳の障害のために、それが聞こえていない。すると自分が何を話しているのか、チェックすることはできなくなる。

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「失語からの恢復を助ける漢字」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長