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学力を精密に測定する(無)意味

2013年6月7日(金)

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 6月6日付けの日本経済新聞の朝刊は、1面に

「センター試験廃止へ」

 という見出しを掲げた記事を掲載している。
 なんと。
 もし本当なら、これはただごとではない。

 記事の本文を読むと、とりあえず「センター試験の廃止が決定した」という話ではない。
 とはいえ、文科省が、センター試験の改革に向けて検討を開始したことはどうやら事実で、とすると、やはりこれは軽視して良い情報ではない。

 この種の改革案に関しては、事態が決定に至る以前に、十分な検討の機会がもたらされるべきだと思う。
 そのためには、事態の進捗と議論の現状がどのあたりにあるのかについて、広く告知されることが望ましい。
 その意味で、記事を一面に持ってきた日経新聞の判断に拍手を送りたい。私たちは、事件や事故の結末より、自分たちの先行きにかかわるニュースにもっと目を向けるべきだ。

 記事によれば、センター試験に代わって登場することになる「到達度テスト」は、

・高校二年生以上を対象に
・年2~3回程度実施して、
・レベルに応じて、三段階程度のテストを用意する

 という想定で検討されている。
 一人の生徒が複数回受けた場合は、そのうちの最も良い成績を提出して、それを大学側が合否判定に利用するのだという。

 狙いは、高校生の基礎学力を、より包括的かつ正確に把握するところにあるのだと思う。
 主旨はよくわかる。

 この「到達度テスト」が、思惑通りに実行されて軌道に乗れば、おそらく、制度設計者が考えているように、高校生の学力は、一発勝負のセンター試験で点数を測定している現状よりも、よりきめ細かい形で把握できるようになるはずだ。

 だが、仮に高校生の学力を、より正確に把握できるようになるのだとして、そのことが、近未来の高校生の生活をより望ましい方向に導くことになるのかどうかは、また別の問題だ。

 ついでに言えば、この計画の発信源である「教育再生実行会議」の面々が、「到達度テスト」の実施を通じて果たそうとしている「グローバル人材の育成」という国家目標(←だよね?)が、果たして、彼らの狙い通りに、この国の若年層の知的活性を高め、わが国の未来に輝かしい果実をもたらしてくれるのかどうかについても、依然、見通しははっきりしていない。

 これは、あくまで個人的な感覚なのだが、私は、教育に関連する事柄ついて、制度的な変更や改革を言い立てる人々に対して、あまり良い感情を持っていない。というのも、制度の変更は、それがうまく行った場合でも、少なくとも十年かそこらの混乱を現場にもたらすものだからだ。

 一期校・二期校の区別が廃止され、「共通一次テスト」が導入され、それが「センター試験」に名を変え、一部私立校の入試に転用されるようになる間、制度変更が実施される度に、移行期の混乱が現場の学校関係者と受験生を振り回してきた。

 で、そうやって、何年か毎に細かい手直しを加えながら、結局のところ、入試が入試であり受験生が受験生である現実は、ほとんどまったく変わっていない。無事に大学生になりおおせた若者が、就活生に変貌する間の事情について言うなら、事態はむしろ悪化している。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「学力を精密に測定する(無)意味」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官