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「東京大空襲なんて初めて知りました」

『137億年の物語』著者、クリストファー・ロイド氏インタビュー

2013年7月29日(月)

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 子供たちを自宅で自ら教育したことをきっかけに、科学的視点と歴史的視点から地球に起こったことを「物語」にした『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史(原題:What on earth happened?)』(文芸春秋)がヒットした英国人科学ジャーナリストで、起業家でもあるクリストファー・ロイド氏。著作は、地上で起こったことの世界中の歴史が、時系列で俯瞰的に楽しめるのが大きな特徴だ。このほど来日したロイド氏に、そもそも本を書いて出版しようと思った経緯や、歴史を「鎖国的」に学ぶのではなくグローバルに学ぶことの重要性について、詳しく話を聞いた。

(聞き手は広野 彩子)

来日した時にブログで「東京大空襲を初めて知って大きなショックだった」と書いておられましたね。

ロイド:そうなんですよ。江戸東京博物館に行って、東京大空襲について初めて知ったんです。1945年3月10日夜、米軍のB29爆撃機が東京に焼夷弾を落として焼きつくし、10万人以上の人をたった一晩のうちに殺戮したという史実です。広島、長崎の原爆投下で当日亡くなったとされる人数にも匹敵するではないですか。本当にショックでした。

日本人なら大体、学校で習って知っていることです。

クリストファー・ロイド氏(Christopher Lloyd
1968年英国生まれ。英ケンブリッジ大学で中世史を学んで91年に学位を取得、その後サンデータイムス紙の記者となる。新聞では科学と工学を担当し、94年には「今年の科学ジャーナリスト」として表彰される。96年、英タイムズ紙、サンデータイムス紙などの発行元であるニューズ・インターナショナルのマネジメントに転じ、同年サンデータイムス紙の初のウェブ版を立ち上げた。その後ベンチャーのインターネットメディアビジネスなどに携わった後2000年、オックスフォードにある教育ソフトウエア出版社に経営者として転職、売上をほぼゼロから300万ポンドにまで成長させる。2006年に退社、妻と自宅で教育していた2人の子供と共に欧州中を旅しながら『What on earth happened?』の執筆を思いつき、2008年に発売。2010年、出版社What on Earth Publishing Ltd.を起業。以後、講演活動などをしながらシリーズを発刊している。(写真:稲垣純也)

ロイド:でも、海外の人間は恐らく誰も知らないんですよ。日本人以外は。これほどのひどい大量殺戮を。信じられない。こんなことってありますか。

そういえば2003年に米国留学していた時、同級生だった米国人外交官らと、後にアカデミー賞を受賞したロバート・マクナマラ元国防長官の独白映画「フォグ・オブ・ウォー」を一緒に見ました。そこで映像とともに東京大空襲について振り返るシーンがありますが、彼女は東京大空襲の史実を全く知らず、こんな重大な事実を学校で全く習わなかった、と大きなショックを受けていました。米国でも、それは同じようです。

ロイド:私がこの史実を知らなかったことを本当に申し訳なく思います。英国にとっても知るべき、西洋の重大な歴史の一部ではないですか。全員が知るべきです。特に、『137億年の物語』みたいな、世界中の歴史と科学を扱う本を書いた私のような人間は、知っているべき史実でした。

ぜひ、英語圏の方たちに発信してください。

ロイド:もちろんです、ブログでも発信しています。実は、このようなことが世界中にあるのですよ。たとえば1840年から、植民地だったインド産アヘンの対中輸出による三角貿易をめぐる問題で清と大英帝国が戦い、大英帝国が勝ったアヘン戦争です。英国の学校の生徒たちは、アヘン戦争については何も学ばずに育ちます。

コメント20件コメント/レビュー

浅草に住んでいた私の祖母は、東京大空襲で死にました。今年80歳の私の母は、いまだに祖母の遺骨の手がかりを探しています。母の心の傷はずっと癒えておらず、苦しみを抱えたままの母に育てられた私自身の人格形成にも、少なからぬ影響があったと思います。私は、ずっと23区内に住んでいますが、隅田川の花火大会には行ったこともないし、テレビ中継も見ません。なぜなら、あの川に、空襲の炎で身を焼かれた何万もの人々が、熱さのあまり飛び込み、やがて冷たい水に体温を奪われ亡くなっていったからです。今は平和な時代ですから、人々がエンジョイすることまで反対はしない。でも、私にとって、あの川は、鎮魂の祈りをすることはあっても、無邪気にはしゃぐことなどあり得ない場所です。こういう思いは、日本人でさえ、知らない方は多いのではないでしょうか。同時に、私の知らないことも沢山、あるでしょう。戦争の話題は国家レベルでよくでてきますが、戦争のことについて案外、我々は何も知らないのです。(2013/08/05)

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「「東京大空襲なんて初めて知りました」」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

浅草に住んでいた私の祖母は、東京大空襲で死にました。今年80歳の私の母は、いまだに祖母の遺骨の手がかりを探しています。母の心の傷はずっと癒えておらず、苦しみを抱えたままの母に育てられた私自身の人格形成にも、少なからぬ影響があったと思います。私は、ずっと23区内に住んでいますが、隅田川の花火大会には行ったこともないし、テレビ中継も見ません。なぜなら、あの川に、空襲の炎で身を焼かれた何万もの人々が、熱さのあまり飛び込み、やがて冷たい水に体温を奪われ亡くなっていったからです。今は平和な時代ですから、人々がエンジョイすることまで反対はしない。でも、私にとって、あの川は、鎮魂の祈りをすることはあっても、無邪気にはしゃぐことなどあり得ない場所です。こういう思いは、日本人でさえ、知らない方は多いのではないでしょうか。同時に、私の知らないことも沢山、あるでしょう。戦争の話題は国家レベルでよくでてきますが、戦争のことについて案外、我々は何も知らないのです。(2013/08/05)

私もコメントの「過去に受けた悲惨で残虐な出来事を伝えないからこそ、憎しみや恨み、自虐心を植え付けることなく、互いに平和的な関係の構築に努めることができている」に賛成です。しかし、ある程度の歴史的経緯などは知るべきとも思います。犯罪でも低年齢層では分別がつかない年齢として扱われます。その分別のつかない時期に憎しみの植え付けを行うような事をしていると言う事ですから。低年齢では事実のみを神の視点で公平に見て教えるべきで、偏った立場の視点で他者を断罪する方向で行うのは憎悪の再生産と継承。過去ばかり見て、しかも自身の世代でない事に対し、当時の子孫の他人をゆすりたかる行為をする一方で、未来志向でなどど言う冗談は笑えない。過去の身分による差別問題も、子供の苛め問題をみれば知識を得る事から始まり、継承されるように思う。(2013/08/04)

教育に関して非常に創造的なアプローチをする方のようで、とても興味深かったです。(2013/08/03)

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