• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「東京大空襲なんて初めて知りました」

『137億年の物語』著者、クリストファー・ロイド氏インタビュー

2013年7月29日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

そうなんですか? 少なくとも日本人は、世界史などで習いますよ。

ロイド:嘆かわしいことです。言論の自由だ、などと言っておきながらやっていることと言えば。でも事実なんです。今も英国では、歴史でアヘン戦争を教えていません。一方、中国人は歴史をどうやって学ぶかご存知ですか。中国人から聞いたんですが、中国はまずアヘン戦争から教わります。敗戦で結んだ南京条約により清は、香港を大英帝国に譲り、賠償金を払い、それまで拒んでいた自由貿易を認めざるを得なくなった。重要な史実です。

 すると、たとえば45歳ぐらいの、私ぐらいの年齢の英国人と中国人が一緒にビジネスをしようとしたとき、どんなことが起こるでしょう。一方はアヘン戦争についてしっかり学び、記憶に刻まれている。一方は聞いたこともない。すると潜在的にある感情が分からないので、互いを本当に理解し合おうと思っても難しい。互いに理解し合えない原因が、そういった根本的なところにある。

 これは本当に大切なことだと思いませんか。日本と中国も同様でしょう。互いに教わっていない史実があることでしょう。それを理解し、根気強く対話することが重要だと思います。

史実をめぐって、日中でも見解の分かれているものもあります。一般人レベルでは対話をすることで互いの思い込みに気づくきっかけにもなりますが、政治的には難しいでしょうね。

ロイド:そうです。とても難しい。ただ、話題にして知識を共有することによって相手との強いきずな、共感が生まれ得るのです。その知識や、一瞬の会話がなかったら得られなかった深い共感があることでしょう。これが文化の違う人と人を「つなぐ」ということなのです。『137億年の物語』では、そういう、国別、分野別に分かれて教えられ、断片的になっている歴史や科学の知識を、有機的に「つなぐ」ことをしたかったのです。

国や、科目の枠を超えた歴史の本を作りたかった

2006年から書き始め、2008年に上梓した『137億年の物語』は、15カ国語に翻訳されましたね。日本でも発売後5か月で10万部を超え、いまや14万部のベストセラーとうかがっています。そもそも、この本を書こうと思ったきっかけは何ですか。すごいボリュームです。

ロイド:5分で読めるような本ではありませんので、ゆっくりお読みになってください(笑)。本を書いた最初のきっかけは、当時7歳だった私の娘が学校嫌いになってしまったことでした。学校の先生にももちろん相談しましたが、「テストの成績はいいですし、問題ありません」と全く取り合ってくれませんでした。娘と正面から向き合って、接してはくれなかったのです。先生は、学業不振の子供に対応するだけで精いっぱいでした。

コメント23件コメント/レビュー

史実に基づく教育であるべし、プロパガンダやファンタジーは願い下げ、と述べたものです。

ただ史実のみを淡々と教えるのも、結構難しいと思います。そこには各国それぞれの「歴史認識」が入り込むのは避けられないと思うからです。

五大湖は今も昔も水運が盛んだった所で、昔は船の方が陸上輸送よりはるかに大量の荷物を迅速に運べることから、独立戦争当時イギリス・アメリカ・フランスが三つ巴で制海権ならぬ制湖権を争っていました。今でも五大湖周辺にはそれぞれの国が築き、取った取られたを繰り返した砦跡が残っています。

そこの展示に書かれていることが、米加両国では180度異なる表現になっています。米国側では「イギリス軍を我が国から駆逐し、独立を守った!」と書かれていますし、カナダ側に行くと「侵略(はっきりそう書いてあります)してきたヤンキーを追い返してやった!」と書かれています。

白人、プロテスタント、英語圏の両国ですらこれです。日本がプロパガンダやファンタジーを信じきっている隣国と歴史認識が一致することは、日本がその隣国の属国にならない限り無いでしょう(そのリスクも無視出来ないですが)。

特に近現代史については、万人が納得出来る歴史書の編纂はかなり困難が伴うように思います。(2018/03/10 22:42)

オススメ情報

「著者に聞く」のバックナンバー

一覧

「「東京大空襲なんて初めて知りました」」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

史実に基づく教育であるべし、プロパガンダやファンタジーは願い下げ、と述べたものです。

ただ史実のみを淡々と教えるのも、結構難しいと思います。そこには各国それぞれの「歴史認識」が入り込むのは避けられないと思うからです。

五大湖は今も昔も水運が盛んだった所で、昔は船の方が陸上輸送よりはるかに大量の荷物を迅速に運べることから、独立戦争当時イギリス・アメリカ・フランスが三つ巴で制海権ならぬ制湖権を争っていました。今でも五大湖周辺にはそれぞれの国が築き、取った取られたを繰り返した砦跡が残っています。

そこの展示に書かれていることが、米加両国では180度異なる表現になっています。米国側では「イギリス軍を我が国から駆逐し、独立を守った!」と書かれていますし、カナダ側に行くと「侵略(はっきりそう書いてあります)してきたヤンキーを追い返してやった!」と書かれています。

白人、プロテスタント、英語圏の両国ですらこれです。日本がプロパガンダやファンタジーを信じきっている隣国と歴史認識が一致することは、日本がその隣国の属国にならない限り無いでしょう(そのリスクも無視出来ないですが)。

特に近現代史については、万人が納得出来る歴史書の編纂はかなり困難が伴うように思います。(2018/03/10 22:42)

記事とコメントを読んで思ったことが二点。

一つはオハイオ州デイトンにある空軍博物館でのこと。B-29「ボックスカー」が展示されており、その下にビデオが上映されていました。

B-29の東京への空襲は神風攻撃隊の発進基地を攻撃するためだ、と言うアナウンスが流れていました。そりゃ違うだろと思いましたが、それ以外の日本に対する表記はフェアだったので我慢しました。

軍アレルギーの極端に強い日本と違い、子供連れで訪れる方も多いので、そうした記述にしたのかもしれませんね。

もう一つは上のコメントと矛盾するかもしれませんが、基本は史実に基づく教育であること。

どこぞの国のように一から完全にねつ造したプロパガンダやファンタジーを教えるのだけは勘弁してほしいです。

日本の加害をあげつらう方に限って、こうした隣国のねつ造史観には口を拭っているのもフェアではないですね。(2018/03/10 22:26)

>一方で、同時期に鄭和の大艦隊を誇っていた中国は、周辺の侵攻に悩んだあげく海上覇権をあきらめて陸の強化に力をシフトし、万里の長城を築きます。

これは正しくは「万里の長城を100年振りに延長し始めます」だな。(2018/03/10 15:06)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

地球環境への貢献と事業の成長は矛盾なく、ともに追求できると信じている。

井上 礼之 ダイキン工業会長