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ハダカのマッドサイエンティストが救ったコスタリカの自然

コスタリカで虫採り その4

2013年8月22日(木)

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 2013年6月9日。朝7時半に運転手のエラディオさんが迎えに来て、昨日も行ったカカオ火山へ向かう。山道の途中で、昨日花が咲いていた、その木の下で車を止めて、カミキリの採集が始まる。

 新里さんが頑張って、カミキリを待つ。カミキリが花に来るのには時間帯があり、昨日は午後だったから、条件が不十分だったのである。

 こちらは叩き網、西田さんが道端を見ながら歩いて、いろいろな虫を見つけ、あれこれ教えてくれる。

 葉の大きなキク科の草があって、それにゾウムシが多い。花に張り付いた新里君を置いてさらに山頂へ向かって上る。開けた場所に出ると、馬が2頭、ただずんでいる。野ボタンが生えた平原になっており、その先にカカオ火山の雲霧林が見える。

 この山の上にもダニエル・ジャンセンDaniel Jansen博士のステーションがあるという。平原は風がむやみに強く、たたき網をすると、落ちてきた虫を含めて、なにもかも飛ばされそうである。でも都合のいいことに、落ちた虫は網の布にしがみついて離れない。欧州製の新しいたたき網を初めて使ってみたのだが、こういう利点があるとは気づかなかった。野ボタンには小さなゾウムシがいる。花が咲いているので、授粉者であろう。

 原生林の中は暗く、大きなミズスマシが水溜まりを泳いでいる。こういう暗い森は採集には向かないし、時間が限られているので、入り口付近だけで失礼する。一時半に新里さんを拾って宿舎に戻った。車ではほとんど寝ていた。

スケールが桁違いの保護区

 午後4時にサンタ・ローサの宿泊地内にあるダニエル・ジャンセン博士の家に行く。上半身裸で、奥さんと一緒に、自宅というより、小屋で仕事中だった。小屋の軒下に10日前からボアが棲みついたという。見上げると、なるほどいるわ。日本ならさしずめアオダイショウであろう。

ジャンセン博士の家の屋根裏に住むボア(以下、特記なき写真は佐藤岳彦氏撮影)

 すでに述べたが、このグアナカステ国立公園の設立には、ジャンセン博士の力が大きい。最初に一部の土地を手に入れ、後は順に近くの農地、牧場を買っていったのである。

 目的は北米大陸から続く乾燥林の南限であるサンタ・ローサ国立公園地域と、カリブ海側からの熱帯雲霧林で覆われるカカオ火山、オロシ火山をつないで、多様性の高い環境を保全することである。ジャガーやピューマのようなネコ科の大動物も森がつながって広い面積が確保されることで生きていける。

 土地を買うには、むろんお金がいる。新里さんがお金はどうしたんですかと訊くと、ジャンセン博士は合掌した。

 つまり寄付である。

ダニエル・ジャンセン博士と養老先生

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「ハダカのマッドサイエンティストが救ったコスタリカの自然」の著者

養老 孟司

養老 孟司(ようろう・たけし)

東京大学名誉教授

解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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