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五輪招致反対派の落胆と祝福

2013年9月9日(月)

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 やっかいな原稿になってしまった。

 書きにくい理由は、私自身が五輪招致に反対だったからということもあるが、それ以上に、東京の五輪招致活動は失敗に終わるものと決めてかかっていたからだ。

 招致成功の可能性をゼロと踏んでいた以上、当然、私の脳内には、失敗を前提とした予定稿が着々と出来上がりつつあった。
 そんなわけなので、9月8日の朝、パソコンを立ち上げて、東京招致の結果を確認した瞬間に、私のシステムは、フリーズした。

 リセットと再起動には、4時間ほどの時間を要した。
 具体的に言うと、午前7時に結果を確認した後、私はそのまま11時までふてくされて二度寝をしたのでした。

 ある年齢を超えると、願望と予測の境界が曖昧になる。今回は、そのことを思い知らされた。

 単純な賛否について言うなら、私は、百パーセントの反対論者だったわけではない。いくつか、反対する理由をかかえていたということで、比率で言うなら、反対7、賛成3ぐらいの気分だった。

 が、予想の面では、9割方東京の目は無いと思っていた。
 現時点から振り返って見るなら、その予測に、たいした根拠があったわけではない。
 そうなってほしいと思っていただけだ。
 願望がそのまま予断として私の思考を限定していたわけだ。

 そういう意味では、私は、安倍首相がスピーチの中で「(福島第一原発の)状況はコントロールされている」と言明したことを、非難する資格を持っていないのかもしれない。
 願望なり希望なりが、いつしか現実認識として根を張ってしまうことは、多かれ少なかれ、誰にでも見られる傾向だ。

 それが今回の招致プランの中で頻発されていた「夢を見る」ということの実態でもある。
 もっとも、政治家の場合は、夢を見るだけでは困る。
 彼らには夢を実現してもらわねばならない。

 東京招致が実現して、私が落胆しているのかというと、実はそうでもない。
 半分ぐらいは祝福する気持ちでいる。
 なんというのか、たった一夜のうちに、賛否の割合が五分五分ぐらいのところまで変化したわけだ。
 わがことながら、なんと軽薄な心構えであろうか。

 おそらく、半年もすれば、私の内心は、期待が6割に不安が4割ぐらいの比率になっている。でもって、7年後の開催時には、ワクワク感9割の好々爺になり果てているはずだ。そういうふうにして人の心は動く。オリンピックのようなものに反対を貫くことは本当にむずかしい。

 個人的には、招致決定でほっとしている部分もある。

コメント97

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「五輪招致反対派の落胆と祝福」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師