• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

五輪招致反対派の落胆と祝福

2013年9月9日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 やっかいな原稿になってしまった。

 書きにくい理由は、私自身が五輪招致に反対だったからということもあるが、それ以上に、東京の五輪招致活動は失敗に終わるものと決めてかかっていたからだ。

 招致成功の可能性をゼロと踏んでいた以上、当然、私の脳内には、失敗を前提とした予定稿が着々と出来上がりつつあった。
 そんなわけなので、9月8日の朝、パソコンを立ち上げて、東京招致の結果を確認した瞬間に、私のシステムは、フリーズした。

 リセットと再起動には、4時間ほどの時間を要した。
 具体的に言うと、午前7時に結果を確認した後、私はそのまま11時までふてくされて二度寝をしたのでした。

 ある年齢を超えると、願望と予測の境界が曖昧になる。今回は、そのことを思い知らされた。

 単純な賛否について言うなら、私は、百パーセントの反対論者だったわけではない。いくつか、反対する理由をかかえていたということで、比率で言うなら、反対7、賛成3ぐらいの気分だった。

 が、予想の面では、9割方東京の目は無いと思っていた。
 現時点から振り返って見るなら、その予測に、たいした根拠があったわけではない。
 そうなってほしいと思っていただけだ。
 願望がそのまま予断として私の思考を限定していたわけだ。

 そういう意味では、私は、安倍首相がスピーチの中で「(福島第一原発の)状況はコントロールされている」と言明したことを、非難する資格を持っていないのかもしれない。
 願望なり希望なりが、いつしか現実認識として根を張ってしまうことは、多かれ少なかれ、誰にでも見られる傾向だ。

 それが今回の招致プランの中で頻発されていた「夢を見る」ということの実態でもある。
 もっとも、政治家の場合は、夢を見るだけでは困る。
 彼らには夢を実現してもらわねばならない。

 東京招致が実現して、私が落胆しているのかというと、実はそうでもない。
 半分ぐらいは祝福する気持ちでいる。
 なんというのか、たった一夜のうちに、賛否の割合が五分五分ぐらいのところまで変化したわけだ。
 わがことながら、なんと軽薄な心構えであろうか。

 おそらく、半年もすれば、私の内心は、期待が6割に不安が4割ぐらいの比率になっている。でもって、7年後の開催時には、ワクワク感9割の好々爺になり果てているはずだ。そういうふうにして人の心は動く。オリンピックのようなものに反対を貫くことは本当にむずかしい。

 個人的には、招致決定でほっとしている部分もある。

コメント97件コメント/レビュー

東京オリンピック1964のような迫力あるポスターが作れるかどうか。つまり、内向きで平目のようなデザイナーと演出家しか現れないのではないかと危惧する。(2013/09/11)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

一覧

「五輪招致反対派の落胆と祝福」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

東京オリンピック1964のような迫力あるポスターが作れるかどうか。つまり、内向きで平目のようなデザイナーと演出家しか現れないのではないかと危惧する。(2013/09/11)

寂しき団塊弟世代の愚痴ってとこだね。いや、非難じゃない。私も同世代なので感覚は分かる。団塊世代ほど強烈じゃないが権威・権力に対する反骨心はある。「みんなのために」という日本的な物言いより「それより世界に倣って個人の幸せを」みたいな意識がある。ノンポリだが戦後教育を受けているので似非左翼である。だからオリンピックみたいな国家事業に近いビッグイベントにはとりあえず反対してみたい。でも根が浅いからすぐに「オリンピックも悪くないよなあ」と変節してしまう。結局のところ小田嶋氏にしても私にしても、昭和30年代前半生まれの世代は、現在の日本のような国難に瀕している状態では何の役にも立たない。屁理屈はこねられるんだけど、人にとっての夢の力の大きさに対して素直になれない。寂しいことだ。(2013/09/11)

昨日のラジオデイズ、小田嶋さんの飛び入り参加、嬉しかったです。東京オリンピック、自分の周り(自分の周り話で恐縮ですが)には熱狂的に歓迎している人はいなくて、「へーやるんだ」といった感じで、あまり関心を示さない人がほとんどなので、テレビでの報道やネット上での書き込みで熱狂的な歓迎の様子を見てびっくりしています。多分ネット上で反オリンピック派?を叩く人のほとんどは何か攻撃する対象を探しているだけでオリンピックそのものにはあまり興味がないのではないかと思いますが・・・。次回のコラムも楽しみにしています。(2013/09/10)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長