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時速500キロの「直線的な未来」

2013年9月20日(金)

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 9月18日に東海旅客鉄道(JR東海)が「中央新幹線環境影響評価準備書」を発表した。

 それによると、2027年に開業予定のリニア新幹線は、品川・名古屋間の286キロメートルを、約40分で走り切るのだそうだ。ちなみに最高速度は500キロ超に達する。

 なるほど。了解した。
 とても速いようだ。

 が、公表された情報の中で、私に最も強い印象を与えたのは、「全区間の86パーセントが地下(トンネル)ルートになる」という部分だった。

 これは、わくわくしにくい。
 水をぶっかけられるようなデータだ。
 地下鉄…どころか、まるでスペースマウンテンじゃないか。
 おそらく、リニアでの移動は、旅情とはかけ離れた経験になる。
 「旅」というよりは「移動」ないしは「運搬」に近い40分間になるはずだ。

 個人的に、閉所恐怖の気味があるからなのかどうか、私はトンネルを好まない。

「出してくれ」

 と、地下鉄に乗っていると、暗い窓を見ながら、いつもそう思う。
 なんというのか、腸の中を進んでいるみたいな感覚に襲われるのだ。

 ということは、リニアの座席に座っている私は、運搬される荷物よりももっとずっと悪い自覚を抱くことになるのかもしれない。

 リニア新幹線そのものについて意見を言いたいのではない。
 どちらかといえば、リニア新幹線のようなものが現実化されていくことの不思議さについて、思うところを書きたいと考えている。

 おそらく、わかりにくい原稿になる。
 ただ、今回のテーマは、私がこの10年ほど、折にふれてもやもやと考え続けてきたことで、個人的には、とても大切な問題だと思っている。きちんと読者に届くように説明することができるのかどうか、若干自信がないのだが、とにかく書きはじめてみることにする。

 私は、リニアに限らず、原子力発電所や粒子加速器や宇宙開発のような、巨大で先端的で未来的で超絶的な科学技術の追求を無条件に賛美する態度に、しばらく前から疑問を感じはじめている。

 非現実的だからダメだ、と言っているのではない。
 科学する心は、そもそもが現実と非現実の境界領域に属するものだ。

 科学技術を進歩させるためには、非日常的な未来への憧れの気持ちが不可欠なはずで、その意味からすると、リニア新幹線が、科学技術にたずさわる人々に、挑戦に値するハードルを設定したことの意義は小さくないと考えている。

 とはいえ、市井の民間人であるわれらパンピーは、科学の夢は科学の夢として、その現実的な側面について検討しなければならないと思うのだ。

 おそらく、私がいま言っていることは、一部の人々の反発心を刺激するはずだ。
 というのも、私のコメントは、いつだったか、蓮舫議員が事業仕分けの中で発言した

「二位じゃダメなんですか?」

 と、大筋において変わらないお話に聞こえるだろうからだ。

コメント81

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「時速500キロの「直線的な未来」」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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