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新たな社会契約「人民協約」の発表

抵抗する[31] 市民革命の思想(6)

2013年10月17日(木)

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ニュー・モデル軍

 このようにして議会派は長老派と独立派が対抗する構図となった。スコットランドからの援軍もあったが、議会派の軍隊はクロムウェルの指揮のもとで、信徒の軍隊となった。ニュー・モデル軍と呼ばれたこの軍隊の中核となったのは、クロムウェル鉄騎隊であったが、この鉄騎隊は、「国王軍を信仰の敵と考え、自らをピューリタンの〈聖者〉とみなした人たちが自発的に参加して結成された部隊であり、戦闘の遂行にあたっては厳格な道徳的規律の励行をとおして、劣勢にあえいでいた議会軍のなかにあって名声をかちえていた」[1]軍隊だった。

 この聖徒の軍隊が、ピューリタン革命の実質を担うことになるので、この軍隊に少し注目してみよう。この軍隊はその兵士の募兵方法、戦闘の理念、クロムウェルの指揮という三つの点で注目に値する。まず募兵にあたっては、身分や階層はまったく問わず、「敬虔で正直な者」であり、「自らが何のために戦うのかを知っている者」[2]を積極的に採用した。兵士たちは、宗教的な理念のもとに国王軍と戦う者たちである。レヴェラーズのリルバーンもニュー・モデル軍に入り、勇敢に戦闘したことで、中佐にまで昇進したのだった。

 この兵士たちの戦闘の理念は、「プロテスタント宗教を教皇の手から守り、イングランドの法と自由とを専制政治から救い出す」[3]ことにあった。そして「神の栄光のための道具」[4]として、「厳格な道徳的規律を課せられた」[5]のだった。このように理念がプロテスタントの宗教の擁護ということなっていたために、さまざまな宗教的なセクトの兵士たちが参加していた。セクトの宗派的な違いは許容されたのである。

 また兵士の多くが、千年王国的な思想を抱いていた。これは革命的な終末論であり、終末の到来が目前に迫っていると信じるものである。ただし「直ちに神の国が始まるのではなく、現世と神の国との間に千年間続く聖徒の独裁(千年王国)が介在する」[6]と考えていた。兵士たちはこの聖徒の独裁に参加することで、自分や他者を救済することができるという意識と、その目的のために義務を負うという思想を抱いていたのである。これは激しい戦闘意欲を兵士のうちに植えつけたのだった。

 第三に、この軍隊は、「卓越した軍事的手腕をもったカリスマ的な指導者」[7]であるクロムウェルが指揮した。クロムウェルは信仰の自由を認め、「多様性の中の統一」[8]を目指すという姿勢をとった。クロムウェルのこの姿勢は、後に検討するパトニー討論で重要な役割をはたすことになる。さらにクロムウェルもまだ千年王国的な義務感に基づいて行動することが多かった。

新しい対立関係

 この軍隊はこうした激しい情熱のもとで戦闘するために、数では勝る国王軍を圧倒することも多かった。こうして劣勢になった国王軍は敗退を続け、国王は「変装してオクスフォードから脱出してスコットランド軍に身を投じた。一六四六年七月、国王に見捨てられたオクスフォードの国王軍が降伏して、ここに第一次内乱は完全に終りをつげた」[9]のだった。国王は国民を捨てて逃亡したのであり、これからイングランドでは、社会体制をどのようにするかをめぐって激しい議論が展開される。

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「新たな社会契約「人民協約」の発表」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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