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レヴェラーズの普通選挙の主張と軍の批判

抵抗する[32] 市民革命の思想(7)

2013年10月24日(木)

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基本的な対立点

 さて民主主義の発展にとって重要な意味をもったパトニー討論を検討してみよう。一六四七年の一〇月二八日からパトニーの地でニュー・モデル軍の兵士たちと軍幹部との間で行われた三日間のこの討論は、基本的にレヴェラーズの兵士たちと独立派のクロムウェルやアイアトンらの軍幹部との討論であり、ときおり千年王国派の兵士たちの発言が混じることがある。レヴェラーズは普通選挙による人民主権と共和的な憲法の発布を目指し、独立派は国王や議会と和解してでも、聖徒の軍の権力を維持することを目指している。

 クロムウェルは開会にあたって「この会議は公務のためのものである。公務に関して言うことのあるもの、そういう者には発言の自由が与えられる」[1]と、古代のアテナイのイセーゴリアの権利と同じ内容の宣言をして、発言の自由を保証したのだった。

 これにたいしてレヴェラーズは前日に作成したばかりの「人民協約」をもちだして朗読した。この一院制の議会と共和政体を主唱する「人民協約」にたいして、クロムウェルは不快感を表明した。「実際この文書には、王国の政体そのものの途方もない大変革が含まれている……。もしここに書かれたような非常に体の良いことを備えた状態に、われわれが一気に飛躍できるのであれば、盛んな議論など行いようがないのではなかろうか。……[これがもたらすのは]混乱ではないか、徹底した混乱ではないのか」[2]

 このクロムウェルの発言によって、兵士たちと軍幹部の姿勢の違いは明確にされている。兵士たちは「人民協約」によって、王政を自然権と社会契約に基づく共和政に変えようとしている。軍の幹部は、王や議会と妥協しようとしているので、長い伝統に基づいた「古来の国制」を維持しようとするのである。

 軍の幹部たちは地主層であり、初期ブルジョワジーを代表する。一般兵士層に浸透したレヴェラーズたちは、財産による制限選挙を撤廃して、普通選挙を目指している。普通選挙が実現するならば、軍の幹部たちの特権は失われることになるだろう。クロムウェルたちが抵抗するのは、よく理解できることである。彼らは抑圧的な国王とは敵対しているが、下からの突き上げにも抵抗するのである。

根源的な契約と諸契約

 その根拠としてクロムウェルたちが挙げたのは、すでにこれまで契約を締結しているから、それに反することはできないというものだった。クロムウェルは、すでに「われわれは危機の時代において、諸々の宣言を発してしまった」のであり、自分たちが結んだ「諸契約を遂行しているのかどうか、世がわれわれに遂行を期待することを遂行しているのかどうか」[3]が問われると主張した。

 クロムウェルの代弁者であるアイアトンは、権威者がいて、「もしも彼らがわたしを法で縛る旨を私が契約してしまったとすれば、後になって、彼らが正しくないことや公正ではないことを私に要求していることに気付いたとしても、私は自分が服従し耐え忍ばなければならない範囲内で、私の契約に拘束されるのである」[4]と主張する。

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「レヴェラーズの普通選挙の主張と軍の批判」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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