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説明するより醜態を晒そう

2013年11月1日(金)

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 今週は多方面で謝罪会見が続発していた。

 なので、「謝罪」について書くつもりでいるのだが、さきほど、更新されたとり・みきさんの記事をチラ見したところ、テーマがモロにカブっている。

 困った。
 ともかく、内容の重複を避けるべく、迂遠な話をしたいと思う。まあ、毎回わりと迂遠に展開していることはご存知の通りではあるのだが。

 恥の多い人生を送ってきましたと言ったのは太宰治だが、私は、謝罪する機会の多い生涯を送ってきた。

 子供の頃は、その謝罪が苦手だった。
 人間失格だったからではない。
 特段に反抗的な子供だったということでもない。
 たぶん、正直だったのだと思う。

 正直な人間にとって、謝罪というのは、実にどうにも、立ち回り方の見つけにくいミッションなのである。

 よく覚えているケースをひとつご紹介する。

 小学校四年生の時だったと思うのだが、当時、私は何人かの同級生とツルんで、体育倉庫(跳び箱や体操マットやライン引き用の消石灰が保管してある倉庫)を根城に、秘密結社を組織して遊んでいた。

 それがある日発覚した。
 というのも、ある日の昼休み明け、石灰の浴びせっこをして髪の毛まで真っ白になった姿を見咎められたからだ。

 担任の女性教諭は、犯情の悪質さを鑑みて、生活指導のハンドリングを学年主任だった隣のクラスの担任に委ねた。
 で、この年配の男性教諭(Kという名前の教師だった)の叱り方が、私にとっては、実に経験したことのないタイプのネゴシエイションだったのである。

 事態は、紛糾した。

「なぜ体育倉庫で遊んだ」
「……は?」
「どうして体育倉庫で遊ぼうと思ったのかを訊いている!」

 K先生の話しぶりはあくまでも理詰めで、叱責というよりは尋問に近いものだった。
 相手が理詰めなら、こっちも理詰めで答えないといけない、と、私は、そう判断して、率直な証言を心がけた。

「面白そうだったからです」
「面白いなら何をしても良いのか?」
「いいえ」
「では、体育倉庫に入るのが悪いことだというのは分かっていたのだな?」
「はい」
「悪いと分かっていながらなぜ体育倉庫で遊ぼうと考えたんだ?」
「面白そうだと思ったからです」
「面白そうなら体育倉庫に入っても良いと思ったのか?」

コメント59

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「説明するより醜態を晒そう」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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