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どうか頭を上げてください

2013年11月22日(金)

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 また謝罪だ。

 なんでも、一週間ほど前に衆議院の財務委員会に呼ばれて陳謝したみずほ銀行の頭取が、この21日、今度は参議院の財政金融委員会に参考人として招致されて、「(暴力団組員など)反社会的勢力への対応が不十分で、金融庁への報告に誤りがあった。公共性が高い金融機関として申し訳なく、反省している」という旨を述べてあらためて陳謝したのだそうだ。そう新聞に書いてある。私は、記事を読んだだけで、中継の動画を見たわけではない。

 それでも、

「またか」

 と思っている。すっかり食傷している。
 これで、この件については、のべ何回目の謝罪になるのだろうか。
 で、この一連の謝罪劇場は、誰に向けて、この先、いつまで続くのだろう。

 ここのところ、テレビのニュースを見ると、毎日のように誰かが謝罪をしている。
 いったい、画面の中の人たちは、誰に向けて陳謝しているのだろうか。

 私は、初老の紳士が並んでアタマを下げている映像を見かけるたびに、むしろ、申し訳ない気持ちになる。

「どうかアタマを上げてください」
「私はあなたのような人の謝罪を受け止めるに足るたいそうな人間ではありません」

 あのおじさんたちは、直接の被害者でも当事者でもないテレビ視聴者に向けて、何を陳謝しているつもりなのだろう。
 もっと不思議なのは、番組を作っている人々が、いかなる理路において、金融機関の幹部なり高級レストランや百貨店の経営陣に、カメラに向けての謝罪を要求しているのかだ。

 彼らのカメラは、何様だ?
 世間様か?
 だとしたら、その世間様を持ち歩いて商売をしている彼らは、何様なのだろうか。

 私のツイッターアカウントにも、時々、謝罪要求のツイートが届く。
 謝罪を要求してくる人々は、私の言葉づかいの不適切さや、事実誤認や、祖国へのしかるべき愛情の欠如が、誰かを傷つけているというお話を理由に謝罪の言葉を求める。

 彼らは、直接の被害者ではない。
 当事者でも関係者でもない。
 それでも彼らは、被害者とされる人間なり組織なり階層なりの立場を代行して、私に謝罪を要求してやまない。

「失礼だと思わないのか」

 と。
 いや、たしかに、私の言葉は、誰かにとって失礼であるのかもしれない。
 その可能性は高い。
 でも、だからって、どうして無関係な貴殿の要求にこたえて謝罪せねばならないんだ、と、そう思って、私は、たいていの場合、彼らの謝罪要求を黙殺している。

 私は、声なき声を代弁する人間の言葉を信じない。
 なぜなら、声なき声を代弁している人間は、無から有を生んでいる人たちで、ということはつまり、彼らは、空理空論を弄んでいるに過ぎないからだ。

 たとえば、不倫をしている男女がいる。

コメント55件コメント/レビュー

小田嶋さんのエッセイ、いつも楽しく読ませていただいています。ただ、最近いくつか気になる表現があります。それは「何々についてはこうだ(こう思う)」と言い切った後に、「誤解してもらっては困るのだが・・・」「勘違いしないでほしいが・・・」等のイクスキューズ表現(私はこう呼んでいるのですが)が目につくことである。小田嶋さんの文章を読む限り、きわめて論理的で誤解の余地はないので、このような表現は不要であろうと思います。逆にそのように曲解されるなら、それはその人たちの問題ということで突き放していいと思います。(2013/11/26)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「どうか頭を上げてください」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

小田嶋さんのエッセイ、いつも楽しく読ませていただいています。ただ、最近いくつか気になる表現があります。それは「何々についてはこうだ(こう思う)」と言い切った後に、「誤解してもらっては困るのだが・・・」「勘違いしないでほしいが・・・」等のイクスキューズ表現(私はこう呼んでいるのですが)が目につくことである。小田嶋さんの文章を読む限り、きわめて論理的で誤解の余地はないので、このような表現は不要であろうと思います。逆にそのように曲解されるなら、それはその人たちの問題ということで突き放していいと思います。(2013/11/26)

たしかに自動車保険に弁護士特約をつけるのも「やっかいな相手との交渉に備えて」という気持ちからですからね。もともと保険業界自体かなりダーティーな業界、むしろ事故の相手より保険会社との対応のための弁護士を雇った方がスムーズにいくかも、と考えるくらい。アメリカはやくざ、マフィアと関係のある金融機関とつきあえない法律があるので、そこから発覚したのでしょう。ところで現代のやくざは、日本がどこかの国と戦争になったらどう動くのでしょうか?やくざより「そうなったら日本の帝国主義を倒す」と公言している組織が堂々と活動しているし、蜂起にそなえて武器を秘密裏に溜め込んでいるという噂も阪神大震災後出てきました。諜報も破防法もマスコミの糾弾も、こうした組織にこそ向くべきでしょう。(2013/11/25)

消費者金融から金を借りる暴力団もいれば日本国債やトヨタ・NTTの株で財テクをしている暴力団も多いはず。そういった企業や国を批難せず、特定の金融機関を蔑む報道は何の役に立つのか疑問です。私はそんなことより、何に使うための融資だったのか、すでに貸した金はどのように回収するのかなどを報道していただきたい。(2013/11/24)

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