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うんざりするほど当たり前のこと

2013年12月6日(金)

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 参院国家安全保障特別委員会の中川雅治委員長(自民党)は12月5日、特定秘密保護法案の採決を強行し、同法案は、自民、公明両党の賛成多数で可決された。これを受けて、政府、与党は、遅くとも会期末の12月6日までに、参院本会議で同法案を可決成立させる意向なのだそうだ。

 率直に申し上げて、うんざりしている。
 時期として手遅れになってしまったが、一応、思うところを書いておく。

 タイミングのことを言うのなら、5カ月前の段階で既に手遅れだったと思う。さらに言えば、当件に関して、手遅れでないタイミングは、そもそも存在していなかったのかもしれない。自民党にフリーハンドを与えた以上、この日の来ることは既定路線だった。

 これまでにも、当欄で特定秘密保護法案をとりあげる機会がなかったわけではないのだが、その度に、先送りにしていた。
 理由は、ひとことで言えば、うんざりしていたからだ。

 前半では、まず、私がこの話題を扱うことにうんざりしていた事情について述べることにする。もしかしたら、それを言っているだけで紙数が尽きるかもしれない。
 それでもかまわない。大切なのは、私がうんざりしていることの中身だからだ。

 とにかく、結論としてあらかじめ言っておきたいのは、今回のこの法案は、われわれがうんざりし続けてきたことの結果として私たちの前に立ちはだかっているということだ。
 無力感は人を無力にする。実にもってロジカルな話だ。そして、このことのもたらす無力感は、ますます私たちを無力にする。私は、いま、心の底からうんざりしている。

「お前の個人的な感情を吐露することに何の意味があるんだ?」

 と考えておられる向きもあることだろう。
 たしかに、読者には関係のない話に聞こえるかもしれない。

 しかしながら、私は、同じ時代に生きる個々人の個人的な感情には、普遍的な意味が含まれるはずだと考えている。
 時系列の話をするなら、特定秘密保護法が可決成立することへの反応としてうんざりするより先に、私はずっと前からうんざりしていたわけで、ということは、話の順序からすれば、私がうんざりしていたことの結果として法案が成立したというふうに受けとめなければならない。私はそのように考えている。

 こういう話をしていると、

「貴殿は法案を熟読した上で見解を述べているのか?」

 という感じ問いが投げかけられて来る。
 この種の質問は、もうずいぶん前から、完全にテンプレ化している。

 結局、何らかの政治的イシューについて発言する人間を見つけると、必ずその専門性を問う人々が現れることになっているわけで、彼らは、回答を求めているのではなくて、どちらかといえばいちゃもんをつける材料を探しているのだ。

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「うんざりするほど当たり前のこと」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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