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ホッブズの第三と第四の問題点の解決

抵抗する[40] 市民革命の思想(15)

2013年12月19日(木)

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ホッブズの第三と第四の問題点

 最後に、ホッブズの社会契約の第三と第四の問題点をまとめて考えてみよう。ホッブズの社会契約では、国家の創立が社会の外部の第三者との契約として想定されており、しかもこの契約は一度限りのものとし、撤回できない性格のものであるという問題があった。撤回した際には契約は白紙となり、すべての当事者が自然状態、すなわち戦争状態に戻ってしまう。

 これにたいしてスピノザの社会契約は外的な第三者と締結されるのではなく、国民の代表とのあいだで締結された民主的な契約である。この契約のもとで国家の支配者となる者は、たんに支配する権力を共同体の他の人々から委託されただけであり、この委託という事実のために、支配において権力を行使する際に、大きな制約のもとに置かれている。

スピノザの統治者の二つの責務

 国家の権力者は、二つの側面から、この国民の信託に応えなければならない。第一は、権力者はたんにホッブズの権力者のように、国家を統治し、平等と安全と自由を確保するだけではなく、国民の倫理的な生活を実現し、保証するという任務を帯びているのである。

 第二に、権力者はみずからの権力を誇るのではなく、その権力が失われることをつねに恐れていなければならない。権力者の支配が不適切なものである場合、権力者は国民からの激しい攻撃をうけることを覚悟しなければならないのである。

倫理的な国家

 第一の権力者の任務から考えてみよう。まずスピノザは国家の課題は国民の和合であることを指摘する。「人間の共同社会に役立つもの、あるいは人間を和合して生活するようにさせるものは善である。これに反して国家のなかに不和をもたらすものは悪である」[1]ことを確認する。

 この人々が和合した国家が実現するためには、人々は隷属した存在ではなく、自由でなければならないだろう。和合は自由な人間のうちでのみ実現されるからである。スピノザは「自由な人々のみが相互にもっとも多く感謝しあう」[2]と指摘する。「自由な人々のみが相互にもっとも有益であり、かつ最も固い友情の絆をもって相互に結合する」[3]からである。

 自由な人々は孤独のうちではなく、和合した国家のうちでこそ、自分たちの自由を実現し、実感することができるだろう。「理性に導かれる人間は、自己自身にのみ服従する孤独においてよりも、共同の決定に従って生活する国家においていっそう自由である」[4]からである。

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「ホッブズの第三と第四の問題点の解決」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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