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刺激を作りだす遊び(1)

遊ぶ[4]

2014年1月30日(木)

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人間に固有の遊び

 さて前回は、動物行動学からみた人間の支配関係と動物園における支配関係の類似性を確認しかながら、遊びのもつ意味を考えてみました。この遊びは、支配関係を群れの政治的な支配だけに限定するのではなく、人間が支配関係を増殖し、享受することのできるさまざまな多様の分野を作りだすという役割をはたしていました。露骨な権力関係で支配を貫徹するのではなく、遊びにすぎない領域で、自分の力を発揮する場をみいだすというのは、人間にそなわった智恵なのかもしれません。

 この領域は芸術、スポーツ、科学などのいわゆる「真面目な」領域だけに限りません。コンピュータゲームから盆栽にいたるまで、さまざまな領域で人々は自分の力を発揮し、遊びのうちに自分の支配欲や権力欲すら充足することができるのです。この遊びの領域を奪われたならば、人間の社会はもはや存続できないだろうとまで思われるほどです。これらは動物にはあまりみられない人間に固有の遊びかただと言えるでしょう。

動物と人間に共通する遊び

 ところで動物行動学ではこのように遊びを人間が支配欲や権力欲を充足する別の領域としてみいだしているだけではなく、人間が都市生活をするようになって味わうようになった苦しさや味気なさを解消するための重要な手段であるとも考えています。モリスは人間動物園と、動物たちを飼育する動物園の重要な共通の特徴として、この日常生活の退屈さをあげています。動物たちか退屈しているのはいうまでもありません。かつては草原で獲物を追いかけ、生存競争に明け暮れていたはずの動物たちは、狭い檻に閉じ込められて行動の自由を奪われています。

 たしかに食べ物は豊富に与えられるので、もはや獲物を狩ることも、食料となる草を探すことも必要ではありません。しかしこうした狩りのような行為は、生存のために必須な営みであると同時に、生きることの楽しみでもあったはずです。その楽しみを奪われた動物たちは、退屈さをまぎらわせるために、さまざまな「遊び」を考えだします。そして動物園で動物たちが作りだすこうした遊びを観察してみると、それが人間の遊びと奇妙に類似していることが分かるのです。

第一の原則

 というのも、こうした動物や人間の「遊び」は、日常生活の退屈さをごまかすために、人為的に刺激を作りだすことを目的としているからです。モリスは、動物園の観察によって、このような刺激を作りだす遊びの六つの原則を確認しました。それを順番に調べてみましょう。五つの原則は、刺激が弱過ぎるときに、もっと強い刺激を作りだすものであり、最後の一つの原則は刺激が強すぎるときに対処する方法にかかわるものです。

 第一の原則は、「刺激が弱すぎる場合は、不必要な問題を作りだし、ついでこれを解決することによって行動総量を増大することできできる」[1]というものです。

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「刺激を作りだす遊び(1)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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