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刺激を作りだす遊び(2)―人間の文明の創造力

遊ぶ[5]

2014年2月6日(木)

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(第一と第二の原則についてはこちら

第三の原則、新奇な行動の発明

 それではモリスの語る現代社会において遊びを作り出す原則の残りの四つを検討してみましょう。第三の原則は、「刺激が弱過ぎる場合は、新奇な行動を発明することによって行動総量を増大することができる」[1]というものです。

 これは動物たちも人間たちも、自分の独創性を発揮して、退屈をまぎらわそうとするということです。第一の原則は、空いた時間を埋めるために、本来の生存に必要な行為につきものだったはずの行為を復活させたり、それを補うような余計な仕事を作り出したりするものでした。第二の原則は、食べたり飲んだりという生存に必須の行為を過剰に行うものでした。この第三の原則は、これらの行為のように生存に必要な行為を補足したり、過剰にしたりするのではなく、それまではまったく存在しなかった行為を新たな発明するという独創性を特徴とします。

 たとえば動物園で動物たちは、観客として集まってきた人間たちに逆に何からの行為をさせて、それを見物して楽しむという方法を発明します。動物園はもともとは、人間たちが動物を集めて、それを「見物する」ための場所です。しかし眺められるために集められた動物たちも、負けてはいません。動物たちは観客を刺激すれば、観客もまた思わぬ行為をして自分たちを楽しませてくれることを学ぶのです。「利口な動物園の動物であれば、おどろくほどいろいろなことを見物客に演じさせることができる」[2]のです。

 モリスの挙げる例では、「カササギかオウムであれば、頭の毛を逆立てて、それをなでつけてやろうという気を見物人に起こさせ、そうしておいて伸ばした指に噛み付くことができる」[3]のです。動物たちが空腹な様子をみせて、観客たちからさまざまなものをねだるのも、こうした遊びの一つです。動物たちはしっかりと食事をもらっているので、空腹であるはずがないのです。

 それでも空腹らしく振る舞って見せると、前回も確認しましたように、観客はビスケットやバナナから手袋にいたるまで、さまざまなものを動物に与えるのです。これは動物と人間との交流であると同時に、動物たちに遊ばれた人間たちの愚かしい振る舞いなのです。この遊びの欠陥は、ときには食べて見せないと、人間たちは飽きてしまって、相手になってくれないことです。これは第二の原則の語る悪習を動物たちにもたらすことになります。遊ぶつもりだったのに、つい食べ過ぎてしまうのです。

文明のあだ花

 人間たちは人間動物園で何をして遊ぶでしょうか。人間たちは生存とはまったく関係のない方面で頭脳を働かせることで、空いた時間を埋め、新たな刺激を作り出します。芸術、哲学、科学など、人間の文明の多くの部分は、このようにして空いた時間を埋めるための刺激を作りだすめに、本来は必要もないのに作り出された遊びであるとモリスは指摘します。

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「刺激を作りだす遊び(2)―人間の文明の創造力」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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