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幼児の遊び(その1)「実践の遊び」

遊ぶ[6]

2014年2月13日(木)

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幼児にとっての遊びの意味

 人間は本能が欠如している動物であるという理論はよく耳にします。ファーブル昆虫記が詳しく教えてくれるように、昆虫たちはその本能によって、とても説明のできないような巧みな方法で種の保存を計ります。

 たとえば青虫に卵を産み付けるある種の蜂たちは、どの青虫のどの部位に針をさして麻痺させてから卵を産み付け、自分の卵が孵化したときに、豊富な食べ物が生のままで手に入るかを「知っている」かのようです。しかし蜂に尋ねてみても、何も「知らない」というでしょう。ただ本能が教えるままに行動することで、自分の子孫に最適な方法を選択しているのです。

 人間たちにはそのような「無知の知」のような本能的な知識はそなわっていません。人間たちは一から教えられ、学ぶ必要があるのです。子馬は、母親から生まれてきた数時間後には、自分の足で立って歩くことができます。しかし人間の赤子が一人で立って歩き始めるまでは、一年近くの時間が必要です。野生の動物には、一年もの間、両親が無防備な子供を養育するという、いわば贅沢は許されないでしょう。人間にはそれだけの贅沢が認められているのです。

 しかしその間も、子供はただ寝転がっているだけではありません。赤子は自分の手足をさまざまに動かして、自分の身体をどう動かすとどうなるかということを学んでいるのです。その動作はいかにも赤子らしくかわいいもので、両親の愛情をいわば問答無用に絞り取るような愛らしい動作です。それでも赤子は両親から愛されるためだけに、そうした動作をしているわけではありません。赤子の表情をみているかぎり、そこにはある楽しさが味わわれていることが分かります。赤子は自分の手足を動かして楽しんでいるのです。これが赤子の最初の学習であり、最初の遊びです。赤子は何かを強制されて学ぶのではく、自分の身体を使って遊ぶうちに、多くのことを学ぶのです。

 これまでの二回は、動物行動学の見地から、人間が都市生活のうちに閉じ込められた「人間動物園」のうちで、どのような遊びを発明してきたか、そしてどのようにしてその退屈さを紛らわすかを調べてきました。今回は、人間がそもそも成人になるまでに、どのような遊びをすることで成長するのかを、心理学の観点から、幼児の成長理論という観点から調べてみましょう。

実践の遊び

 幼児の成長を遊びという観点から考察したのが、スイスの心理学者で、児童心理学の分野で大きな業績をあげたジャン・ピアジェです。ピアジェは、幼児はその成長の過程において、三つのカテゴリーの遊びを段階的に経験しながら学んでいくと考えています。第一のカテゴリーの遊びは「実践の遊び」です。第二のカテゴリーの遊びは「象徴の遊び」です、第三のカテゴリーの遊びは「ルールの遊び」[1]です。

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「幼児の遊び(その1)「実践の遊び」」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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