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幼児の遊び(その3)「伝承されたルールの遊び」

遊ぶ[8]

2014年2月27日(木)

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ルールの遊び

 さて実践の遊び、象徴の遊びとならんでピアジェが幼児の遊びとして挙げる第三のカテゴリーは、「ルールの遊び」です。ピアジェはこれらの三つの遊びを、幼児の成長段階と結びつけて考えています。実践の遊びは、生まれたばかりの赤子が、手足をバタバタと動かすところから始まります。これはもっとも原初的な遊びであることは、すぐに理解できるでしょう。ここには象徴もルールもありません。ただ自分に身体があるという喜び、そしてその身体を自分が自由に動かせるという喜びがあるのです。これは生まれてから一か月後には、始まるとされています。

 ただしこの実践の遊びも、ただ主体の身体の動きだけに限定されるものではないことに注意が必要でしょう。赤子が自分の身体を動かす喜びは同時に、母親のような自分を養育してくれる人物との関係において発揮されるのです。赤子がただ手足を動かしているだけでも、母親が近くにやってきて、片言ながら、褒め、あやしてくれます。つかまり立ちをするようになると、母親はますます喜ぶでしょう。

 そしてこの養育してくれる他者は、たえず言葉をかけてきます。赤子はこの言葉というものを言語として把握しないうちから、それをきっかけとして他者との関係を築くことを始めるようになります。母親は、泣き声で赤子が何を求めているかを察知してくれますし、赤子は手足を動かし、声帯を動かして声を出すことで、自分の欲求を表現することを学ぶのです。そして象徴の遊びは、言語の使用と密接な関係があることは、すでに確認したとおりです。

 母親はやがて子供に、言葉を教えてくれます。言葉というものが象徴の遊びで重要な意味をもっていることは明らかです。シニフィアンとシニフィエの遊びにおいて言葉は重要な役割をはたすからです。赤子は一歳未満で片言の言葉を話すようになり、二歳の頃には単語ではなく、文を語れるようになります。そして象徴の遊びは二歳の頃から始まるとされています。

 やがて言葉を使うようになった子供は、言葉で自己や他者と社会的な関係を結ぶことができるようになります。そこにルールの遊びが誕生します。ピアジェは「思考が出現してくると、たんなる実践ではなく象徴が登場してくる。それと同じようにある社会的な関係が形成されると、象徴の代わりにルールが登場してきて、実践を統合する」[1]と指摘しています。

他者との関係

 このルールの遊びが登場するためには、自分と同等な他者の存在が不可欠なようです。ピアジェは、一人遊びをしている子供には、ルールの遊びは生まれないようだと考えています。実験でビー玉を与えられた子供は、それをころがして遊ぶか(実践の遊びですね)、それを巣の中の卵のように、何かとみなして遊ぶか(象徴の遊びですね)、そのどちらかだったと言います。

 一人遊びの子供でも、自分だけのルールを作ることはあります。たとえば、壁にボールを蹴ってあてて、それを地面に落とさずに壁に蹴り返す遊びをしている子供がいるとしましょう。その子はたとえば、いつも壁と同じ距離をとることを自分の規則にするかもしれませんし、右足だけで(あるいは左足だけ、または両足で)壁に蹴り返すことを自分の規則にするかもしれません。

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「幼児の遊び(その3)「伝承されたルールの遊び」」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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