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幼児の遊び(その4)「自発的なルールの遊び」

遊ぶ[9]

2014年3月6日(木)

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実践的なベンチ跳び遊び

 このように多くの遊びのルールは、伝統によって定められ、世代から世代へと伝達されるのです。わたしたちが子供の頃によくやった遊びも、そして現在でもスポーツやゲームでやる多くの遊びも、そのように規則が外的に与えられた遊びです。その遊びができるためには、ルールを教えられ、習得する必要があります。

 これにたいしてルールが自発的に決められる遊びもあります。ピアジェは、ある事例で子供の実践的な遊びが、次第にルールをもつ遊びになっていった様子を観察しています。ある男の子が、階段を上ったり、降りたりして遊んでいました。最初はたんに上ることがあるいは降りることが楽しかったのです。

 やがて彼は、そこにあったベンチを飛び越すことを試し始めました。そして次第に遠い距離から踏み切って、ベンチを飛び越すようにしました。学校でやる跳び箱と同じイメージですね。どれだけ遠くから飛べるか、その距離の長さに自分の飛ぶ力を試し、自分の力を実感していたのです。

 これだけなら実践的な遊びです。このベンチを何かに見立て始めると、それは象徴的な遊びになります。ベンチは跳び箱であり、陣地であり、島であると考えるのです。運動会の跳び箱とびをまねるか、飛び越えたところを陣地と考えるか、自分が大きな獣や鳥であり、海を越えて飛びながら、島を飛び越えていくと考えるのです。

ルールをもった遊び

 ところがそこにもう一人の男の子がやってきました。この子は最初の男の子の遊びが面白かったのか、自分ならもっと遠くから飛べると、自分の力をみせつけたかったのか、あるいはその男の子と仲良くなりたかったのでしょう。動機はどのようなものにせよ、その子は最初の男の子と同じことをするのではなく、反対側から飛んでみせました。「それからふたりはぶつからないように、たがいにそれぞれの方向から走って来て、ベンチの両側を飛び越すようになった。この遊びは社会的になって、やがてルールをもった遊びになった」[1]のでした。

 その遊びは、一人でやっているうちはたんに自分の力を享受する実践的な遊びであり、男の子がベンチを跳び箱や何かにみたてている限りでは、象徴的な遊びでした。ところがもう一人の子供が登場して、遊びに参加するとともに、ルールというものが生まれ始めたのです。

 ピアジェによると、この遊びはクラスのうちで流行するようになり、多くの子供がそれに参加しました。この遊びを始めたのはまだ実践的な遊びを主にしている年少の子供たちでした。みんながただベンチを飛び越すという身体的な遊びを他の子供に教えられてしているだけだったのです。

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「幼児の遊び(その4)「自発的なルールの遊び」」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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