• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

失言とは愚行の予告編である

2014年3月7日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 ここのところ、偉い人の失言を糾弾する原稿ばかり書いている気がする。

 本来、私は、この種の仕事を好まない。
 そもそも、誰かの発言の一部を引用して、その言葉の不穏当さや不適切さを言い立てるタイプの言説は、「重箱の隅をつつく」感じがして、見栄えがよくないからだ。

 だから、私は、たとえば、閣僚なり経営者なり芸能人なりが、うっかりもらした片言隻句に雑誌やテレビのレポーターが群がって騒いでいる図を見ると、

「あんな仕事はしたくないものだ」

 と感じる。

「まるで、弱ったヌーを見つけたハゲタカじゃないか」

 と思うからだ。

 ただ、今年になってから断続的にもたらされている政府関係者の失言は、座り慣れないポストに浮かれた閣僚が思わず漏らした不適切な本音や、脇の甘い議員がTPOをわきまえきれずに放ったジョークとは性質が違う。

 もう少し根の深いものだ。
 森さんや麻生さんが時々やらかす失言は、それはそれで困った逸脱ではあるものの、要はご本人の資質に帰することのできるものだ。

 が、ここしばらく続いている政府関係者による不規則発言は、より深刻な病根に根ざしている。
 失言自体は、症状に過ぎないとさえ言える。

 問題の深刻さは、「失言」を漏らした当事者が、自身の言葉を「失言」と考えていないところに現れている。
 彼らは、

「メディアが発言を切り取って問題化しているだけだ」
「記者が繰り出してくる罠みたいな質問にひっかかったに過ぎない」
「国際社会(あるいは海外プレスや当事国)が誤解しているだけの話だ」
「真意が伝わっていない」
「言葉足らずだった」
「説明不足だった」

 という感じの弁解を繰り返す。
 現実にも、たぶんその通りに考えている。

「うるせえな。つまんねえ揚げ足とってんじゃねえよ」

 ぐらいに。

 彼らは、どのケースでも、自分たちの現実認識や歴史観が間違っていたというふうには考えていない。

 当然の流れとして、海外メディアや国際社会の側も、当該の発言を、単なる「失言」とは見なしてくれなくなってきている。彼らは、昨年来途切れることなく続いている政府関係者の不適切発言を、日本政府および日本の社会の中に内在する「本音」ないしは、「隠れた願望」であるというふうに解釈して、その見方に沿った記事を配信しはじめている。

コメント86件コメント/レビュー

ポツダム宣言の受諾(無条件降伏)、サンフランシスコ講和条約…これらを否定するということは、再度かつての連合国と戦争状態に戻ること。威勢のいいことを言うのは、自ら銃を取って最前線に向かう覚悟がある者だけにしてもらいたい。(2014/03/12)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

一覧

「失言とは愚行の予告編である」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ポツダム宣言の受諾(無条件降伏)、サンフランシスコ講和条約…これらを否定するということは、再度かつての連合国と戦争状態に戻ること。威勢のいいことを言うのは、自ら銃を取って最前線に向かう覚悟がある者だけにしてもらいたい。(2014/03/12)

「劣等生仲間の中での武勇伝にはなっても、成長には結びつかない。 」筆者のこの言葉が、安部政権の実像を凝縮しています。「戦犯(岸)の孫」と言う呼称に耐えられないと言うのが現職首相の本音かもしれない。冷静に明治維新以降の日本史を勉強して貰わないと日本が滅びます。  また、プーチンが保護しようとしている「ロシア人」は、厳密には「ロシア系ウクライナ人」で、何世代も前にオスマントルコとの戦いでクリミア・タタール汗国をロシアが奪取して以降継続的にロシア本土から植民してきたロシア系移民の子孫達で母語がロシア語である人々を指す。民族としてはロシア人だが、国籍はウクライナ人と言う人々だ。プーチンの主張は味噌とクソを一緒にした言い方だ。そのことを理解できない人間が自民党幹事長とは、お粗末の極み。(2014/03/12)

私はオダジマさんの意見には賛同も否定もしないスタンス。確かに、昨今、国粋主義者が増えた感がありますが、まだバランスは取れていると感じます。元々、ムラ社会の日本は全体主義に染まりやすく、左右どちらにせよ完全に振り切れると止まりません。ここが一番怖い。だから、左右で反発しあうぐらいが丁度良いのです。(2014/03/11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長