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失言とは愚行の予告編である

2014年3月7日(金)

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 ここのところ、偉い人の失言を糾弾する原稿ばかり書いている気がする。

 本来、私は、この種の仕事を好まない。
 そもそも、誰かの発言の一部を引用して、その言葉の不穏当さや不適切さを言い立てるタイプの言説は、「重箱の隅をつつく」感じがして、見栄えがよくないからだ。

 だから、私は、たとえば、閣僚なり経営者なり芸能人なりが、うっかりもらした片言隻句に雑誌やテレビのレポーターが群がって騒いでいる図を見ると、

「あんな仕事はしたくないものだ」

 と感じる。

「まるで、弱ったヌーを見つけたハゲタカじゃないか」

 と思うからだ。

 ただ、今年になってから断続的にもたらされている政府関係者の失言は、座り慣れないポストに浮かれた閣僚が思わず漏らした不適切な本音や、脇の甘い議員がTPOをわきまえきれずに放ったジョークとは性質が違う。

 もう少し根の深いものだ。
 森さんや麻生さんが時々やらかす失言は、それはそれで困った逸脱ではあるものの、要はご本人の資質に帰することのできるものだ。

 が、ここしばらく続いている政府関係者による不規則発言は、より深刻な病根に根ざしている。
 失言自体は、症状に過ぎないとさえ言える。

 問題の深刻さは、「失言」を漏らした当事者が、自身の言葉を「失言」と考えていないところに現れている。
 彼らは、

「メディアが発言を切り取って問題化しているだけだ」
「記者が繰り出してくる罠みたいな質問にひっかかったに過ぎない」
「国際社会(あるいは海外プレスや当事国)が誤解しているだけの話だ」
「真意が伝わっていない」
「言葉足らずだった」
「説明不足だった」

 という感じの弁解を繰り返す。
 現実にも、たぶんその通りに考えている。

「うるせえな。つまんねえ揚げ足とってんじゃねえよ」

 ぐらいに。

 彼らは、どのケースでも、自分たちの現実認識や歴史観が間違っていたというふうには考えていない。

 当然の流れとして、海外メディアや国際社会の側も、当該の発言を、単なる「失言」とは見なしてくれなくなってきている。彼らは、昨年来途切れることなく続いている政府関係者の不適切発言を、日本政府および日本の社会の中に内在する「本音」ないしは、「隠れた願望」であるというふうに解釈して、その見方に沿った記事を配信しはじめている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「失言とは愚行の予告編である」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長