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あれは「女子力」のイベントだった

2014年4月11日(金)

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 小保方晴子さんがSTAP細胞論文問題で記者会見を開いた日の午前中、さる新聞社の社会部を名乗る記者さんから電話がかかってきた。午後からの記者会見を視聴したうえで、感想のコメントを提供してほしいという取材依頼だった。

 しばらく考えて、お断りした。
 先方には、コメント取材に応じられない理由として

「この件については、継続的にウォッチングしていないので、会見の中で出てくる言葉に関して、適切に判断できる自信がない」

 という主旨の話をしたのだが、本心はもう少し複雑だった。以下、その「理由」について説明してみる。

 この種の出来事についてコメントを求められた際の正しい対応は、多くの場合、思ったことをそのまま語ることに尽きる。多少ヌルくても、観察が届いていなくても、長い目で見て、正直にまさる戦略は無いからだ。

 大向こうの受けを狙って、うがった意見を言おうとしたり、珍しいものの見方を誇示しようとする態度は、ときに、大きな失策をもたらす。そういう意味では、どんなに間抜けなご意見であっても、留保無しに、心のうちをまっすぐに述べる姿勢が、結果として、無難なのだ。

 が、現実には、正直者がバカを見るケースが無いわけではない。
 しかも、正直者が発見することになるバカは、常に、鏡の中に住んでいる。

 つまりなんというのか、コメント提供者の目前に鏡を立ててくる感じの事案に遭遇したら、有識者たる者、うかつにものを言ってはいけないのである。

 今回の事件は、どうやら、その危険なケースに相当する。これは、正直に感想を述べると、発言者が恥をかくタイプの試練なのだ。

 会見を見た私は、おそらく、凡庸な感想を抱く。
 そして、その私のどうにも凡庸なコメントは、新聞を読む人たちの失笑を買うことになる、と、そういうことがあらかじめわかっていたから、私は新聞へのコメント提供を拒絶したわけだ。

 正直がダメならということで、戦略的な態度で臨むのも、実は簡単な作戦ではない。
 まず、世間の尻馬に乗って小保方さんを叩く側に回るのは、無慈悲な感じがしてよろしくない。なにより、あまりにも安易だ。

 かといって、擁護にまわるのも得策とは言い難い。
 このケースにおいて、擁護のための論陣は、どうしても、窮屈なものになるはずだし、論理以外の部分で情緒的に擁護する態度は、単におっさんの色ボケに見えるだろうからだ。

 ただでさえ、新聞のような巨大な読者層をかかえる媒体に向けてコメントを提供する仕事は、巨大なリスクを伴っている。
 読者の多くは、鵜呑みか、毛嫌いか、どちらかの読み方しかできない。新聞というのは、そういうメディアなのだ。

 とすれば、新聞読者が鵜呑みにできる一口サイズの甘辛なご意見を提供する自信を持てない時は、沈黙を守っておくに如くはないのである。

 今回は、小保方さんの会見から私が感じた感想を正直に書くつもりでいる。
 つまり私は、当欄の読者に対して、新聞読者に感じているよりは高い信頼を抱いているということだ。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「あれは「女子力」のイベントだった」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官