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遊びの第一の機能 聖なるものとの交通(2)

遊ぶ(18)

2014年5月8日(木)

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洗礼遊び

 前回は花嫁行列の遊びについて調べてみました。この遊びは『ガルガンチュワ物語』には見えませんが、ガルガンチュワがそんな遊びをするはずもないのでした。しかしブルューゲルの「子供の遊戯」には、その他にも女の子が主体の多くの遊びが描かれています。花嫁行列に似た種類の遊びとして、洗礼遊びがあります。

 この遊びでも、子供たちが行列を作って遊んでいます。同時代の年代記者は、当時のオランダのカトリックの家庭の子供たちが、洗礼ごっこをするのがとても好きだったと語っています。何かおごそかな感じがするのが楽しいのでしょうか。花嫁行列とは違う雰囲気が感じられますね。

「子供の遊戯」(部分)

 図からお分かりのように、この遊びでは四人の女の子が鵞鳥行列と呼ばれる行列を作っています。花嫁行列のように、悪霊が入ってこないようにぎっしりと詰めて並んではいませんね。日本でも時々みかける母カモと子ガモの行列のように、母鳥のあとについて歩く子鳥たちのように歩いています。

 最初の二人の女の子は、花嫁行列の後ろで並んでいた少女たちのように、自分のスカートをはしょって裏返しにして頭からかぶっていますね。先頭の女の子は乳母役で、人形を青い布でくるんで抱いています。この人形がこれから洗礼を受けるわけです。その後に並んでいるのが子供の母親です。花嫁行列と同じように、大切なのは母親であって、父親は相変わらず不在です。その後にいる二人が代父と代母です。この四人でともかく行列ができるわけです。

 後ろの二人はスカートではなく、青い布をヴェールの代わりにかぶっています。頭のところで結び目を作っていますね。これはずり落ちないようにするためですが、ヴェールには悪しき霊から子供を守る力があると考えられていました。三人目の代父の役目の小さな女の子は、何か袋のようなものを腰からぶら下げています。古くから洗礼式では、洗礼が終わると、子供たちにお菓子を投げて与えたといいます。日本のお葬式のような風習ですね。子供たちはそれが楽しみで洗礼行列についてくるのです。

宗教行列ごっこ

「子供の遊戯」(部分)

 この洗礼遊びに似た別の行列が描かれています。ちょうど絵で対角線の反対側のところで、四人の子供たちが何か木の枝の先に白い紙のようなものをぶら下げて行列しています。神妙な顔をしているので、おそらくラテン語で何かミサ曲のようなものを歌っているのだろうと推測されています。

 この行列については、二年後の「死の勝利」の絵で、「骸骨たちが松明を点し、その棒の中間に聖画を掲げ、行進している」[1]ところを思い出すという意見もありますが、構図としては似ていても、内容的にはどうでしょうか。

「死の勝利」(部分)

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「遊びの第一の機能 聖なるものとの交通(2)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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