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遊びの第二の機能 社会への統合(1)

遊ぶ(20)

2014年5月22日(木)

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子供の位置の二重性の第二の性格

 子供の位置の二重性の第二の性格は、子供がこれから成長して、大人の仲間入りをするということにあります。まだ無の世界からやってきたばかりの赤子は、いつまた無の世界に戻ってしまうかもしれないという頼りなさを伴っていました。とくに幼児の生存寿命が短かかった戦前には、日本でもそうした気分が強かったでしょう。こうした子供たちにできるだけ早い時期から、社会のうちで何らかの機能をはたさせて、社会の一員としての自覚をもたせようとしたようです。遊びの第二の機能は、子供たちを社会の一員として統合することにあります。

 まだ公園も、遊具もそなわっていなかった時代には、子供たちの遊びの多くが、成人のする儀式を真似ることになったのは、自然なことでしたが、同時に子供たちにそうした儀式にできるだけ早く参加させて、社会のうちに統合することも目指されたのでした。柳田は、子供が大人の儀式に早くから参加していたことについて、「共同の仕事には、もともと青年の役が多く、以前の青年はことに子どもから近かった。故に一二、三歳にもなると、子どもはもはやそろそろ若者入りの支度をする。一方はまたできるだけ早く、そういう仕事は年下の者に渡そうとしたのである」[1]と指摘しています。

おままごと

 このようにして子供たちは、大人の儀式に参加するようになり、子供たちの間でもその真似をして遊ぶようになったのでしょう。この例はいくつもありますが、女の子たちが大好きなままごとがその好例でしょう。おままごとというのは、「日本では特別によく発達している」[2]遊びらしく、その理由は子供たちに「年をとった人の所作を真似る」[3]遊戯として、重視されたからだと柳田は言います。

 おままごとは、子供たちが宴の準備をして、ほかの子供たちを招いたり、自分の人形をお客としてみたてて、食事を食べさせる真似をするという遊びです。この遊びは、少女に母親の真似をさせるという意味では、精神分析的には重要な意味があります。少女はこのままごとをする際に、食べさせる母親と食べさせられるお客の二重の位置に立っています。

おままごとと精神分析

 人形がお客の場合を考えてみましょう。少女は人形にごはんを食べさせようとするとき、母親の位置に立ちます。そして母親とそっくりな口調で、人形にいろいろと言いながら、ものを食べさせようとします。その子が好き嫌いの多い子供のときには、食事の際に母親はいろいろと言い聞かせているでしょう。「さあ、お野菜をたくさんたべなければいけませんよ」などなど。それを少女は母親になったつもりで、人形に語り聞かせるでしょう。そのとき少女は、母親の立場から自分を眺めていることになります。そして人形が人参を食べないと叱るのです。このとき少女は、自分が好き嫌いをしていることが、母親にとってどういう意味をもっているのかを、自覚する機会を与えられるのです。

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「遊びの第二の機能 社会への統合(1)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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