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わたしたちは握手をあきらめるのか

2014年5月30日(金)

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 AKB48のメンバーが握手会の会場でノコギリを持った男に襲われて怪我をした(ニュース記事はこちら)。

 第一報が届いて以来、この事件は、様々なことを考えさせてくれた。
 ここでは、事件の原因や今後の対策とは別に、このできごとがもたらした波紋に注目したいと思っている。

 というのも、この種の犯罪については、原因の多くを、結局のところ、犯人の内面に求めるほかにどうしようもないからだ。つまり、原因を取り除くにしても、再発を防ぐにしても、唐突に出現する通り魔的な犯行に対応することは、簡単ではないということだ。

 私は、このたびの犯罪の原因が、アイドルグループの少女たちの側にあったとは思っていない。

 また、握手会を運営していた企業なり担当者なりの安全管理に致命的な判断ミスがあったことが事件を誘発した、というふうにも考えていない。
 この原稿は、誰かを責めたり吊しあげたりするために書き起こすものではない。そのことをあらかじめお断りしておく。

 とはいえ、事件が起きてしまった以上、運営側の人間は、模倣犯に対応する体制を整えなければならなくなった。事態はそういう段階にはいっている。

 通り魔的な犯罪に対応することの難しさは、このテの事件を起こすに至る不安定な精神の持ち主が、いずれも暗示にかかりやすい人々であるところにある。暗示にかかりやすいタイプの人間は、今回のような事件が社会的な注目を集めると、自分の手で新しい事件を起こして、同じように世間の注目を浴びる妄想を抱かずにはおれなくなる。

 こうして、大きく報道された通り魔事件は模倣犯を生み出す。
 過去にも、このタイプの突発的な犯罪が、よく似た犯行を招き寄せた例は少なくない。
 事件が集中的に報道されることは、被害に直面するかもしれない人々に対処法を学習させる効果よりも、犯行に誘引されるタイプの人間に啓示を与える意味の方が大きいのかもしれない。そう考えてみると、これは実にやっかいなケースだ。

 もうひとつ、今回のできごとが各方面にもたらしたあれこれを眺めていて私が感じたのは、われわれの社会が、「暴力」全般に対して、抵抗をあきらめつつあるように見えるということだ。

 事件が起こって間もなく、フジテレビ系の情報番組「めざましテレビ」の番組公式ツイッターが、反応を示した。

 アカウントは、「みんな気になる情報が入ってきたよ!」「AKB48のメンバーが負傷した事件のため明日の放送予定が変更になるかも!」というツイートを配信し、続けて「メンバーの具合が心配だなぁ?大丈夫かなぁ?」と、被害者の容態を気遣う文言をツイートした。

 これが、炎上する。

コメント53

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「わたしたちは握手をあきらめるのか」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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