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遊びの第五の機能 秩序の顛倒

遊ぶ(25)

2014年6月26日(木)

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カーニバルの空間

 さて、遊ぶことについてこれまでいくつもの機能を考えてきましたが、遊びという営みには、ほかにも重要な働きがあります。遊びにおいては、既存の秩序が顛倒されるのです。すでに「笑い」のカーニバルについての考察で、カーニバルではこうした秩序の顛倒が好んで行われることを見てきました。カーニバルとは祝祭であり、巨大な遊びの空間です。こうした空間では、日常の生活を律している秩序は片時だけ、崩壊させられます。

 たとえば、仮面をつけていれば、不作法も許されます。「カーニバルの自由な無遠慮な雰囲気の中に、不作法も自分の場所をみいだしうることになる。ブルチネルラの仮面をつけていれば、婦人のいるところでも、しばしば不作法な身振りをすることが許される」[1]のです。この空間では「生活上の厳粛さからの完全な解放」[2]が実現されるのです。

仮面遊び

 ブリューゲルの「子供の遊戯」でも、こうした秩序の顛倒を描いた遊び、そうした顛倒を目指した遊びがいくつも描かれています。たとえば「仮面遊び」です。絵の画面の左端の二階の窓から、子供が仮面をかぶった顔を覗かせています。子供は仮面遊びに熱中するあまり、自分の赤い帽子が屋根に落ちたのにも気付かないほどです。

「子供の遊戯」(部分、以下同)

 仮面遊びは、それまで遊び仲間だった子供が、突然に別の人物に変身したかのような驚きをほかの子供たちに与えます。よく知っていると思っていた人の背後に、まったく見知らぬ人がいるのではないかと思ったときの驚きは、わたしたちもときに経験することでもあります。それは恐ろしさとともにある種の喜びと開放感をもたらすものでもあります。

 同時代の『寓意図像集』という書物では「幽霊の迷信」という銘文において仮面遊びについて次のように語っているそうです。「ごらん、少年が仮面を見て何の根拠もないのに震え、真っ青な顔をして逃げてゆく様を。実物を手に握らせるまで、彼は心の落ち着きをとり戻さない。多くの人びとは魔術的な秘儀信仰のために理性を奪われ、狂気のエクスタシーの中に興奮する」[3]。この絵でも仮面をかぶった少年は、外の道路にいる仲間を驚かせようとしているようですが、それよりも部屋の中で少年の隣にいる幼い弟らしき子供が、すっかり怯えた表情をしています。

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「遊びの第五の機能 秩序の顛倒」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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