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遊びの第六の機能 学び

遊ぶ(26)

2014年7月3日(木)

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教養としての遊び

 さてこの遊ぶのシリーズの最初の頃に、日本語における「遊び」について考察した際に、古語では「遊ぶ」という言葉に、管弦の遊びという特殊な用例があることを確認してきました。手元にある学習用の古語辞典によりますと、中古には「遊ぶ」というときには、主としてこの意味で言われたそうです。「どの時代でも〈遊び〉は日常生活から解放された楽しみを表す。もともとは宗教的な意味合いが強く、神事に伴う歌舞、音楽のなどの芸能を示したが、後に広く行楽、狩猟、酒宴、娯楽などを指すようになった」[1]とあります。

 今では使われなくなりましたが「遊学」というと、故郷を離れて遠い国で経験を積みながら学ぶことを意味しました。明治の頃はヨーロッパに留学するのは「洋行」と呼ばれました。帰国してくると高い地位につけたものだそうです。どちらも日常の生活から離れて「遊ぶ」ことに、見知らぬ環境で「学ぶ」ことに大きな価値をみいだしていたことを示しています。遊ぶことは同時に日常性から離れて学ぶことを意味したのです。

膀胱の浮き袋

「子供の遊戯」(部分、以下同)

 ブリューゲルの「子供の遊戯」に描かれた遊びには、こうした学びとしての遊びの例はあまりみつかりませんが、遊ぶためにある習練や準備が必要な遊びはいくつかみいだせます。前回ご紹介した「竹馬」遊びは、これに習熟することが仕事での技能を高めることでもあるという意味では、「学び」の意味を含んでいたでしょう。

 この遊びは道具を使うことに習熟するという意味で、仕事の面での学びの要素を含んでいますが、遊ぶために道具を作るという遊びもあります。たとえば小さいので見にくいですが、絵の上の遠くの川で泳いでいる子供は、浮輪を使っていますが、この浮輪は実は自分で使ったものなのです。これは豚の膀胱なのです。

 ドイツでは豚を解体するとき、その身体のあらゆる部分を利用することで有名です。腸などの臓器は腸詰めに利用しますし、血液もソーセージの材料に使います。膀胱が出てくると、子供たちは喜んで、それを膨らませたのです。「豚の膀胱は元来、豆やそら豆を保存するため壺代わりの役割もするのだが、他方、子供たちはそれを風船のようにして遊びのを楽しみにした」[2]そうです。

 この絵の別の場面では、大きな豚の膀胱を膨らませて遊んでいる女の子がいます。「風船遊び」の場面です。この場合には、子供たちは膨らませた膀胱から少しずつ空気を抜いて、「ブブー」と鳴らして喜んだようです。しかし小川で泳いでいる子供の場合には、これを背中につけて浮き袋として利用しているのです。これも膀胱を浮き袋に作りなおすという意味で「学び」の要素を含んでいるでしょう。

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「遊びの第六の機能 学び」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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