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夢は願望を充足するものか

夢をみる(3)

2014年8月7日(木)

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夢は願望の充足か

 フロイトはすでにご紹介しましたように、夢とは願望の充足であるという理論を提起しました。そして実際に子供の夢などでは、子供は満たされなかった自分の願望を夢の中で満たすことが多いことも確認されています。

 しかし夢が願望の充足だからといって、それほど素直に表現されるものではありません。そのための夢の解釈が必要となるのです。フロイトのある女性の患者は、夢は自分の願望を充足するものだというフロイトの理論を聞かされて、次の診察のときに自分がみた夢を語ったといいます。その夢は次のようなものでした。

フロイトに反駁する夢

 「ある友人を夕食に招いてご馳走しようと思った。しかし燻製の鮭があるだけで、お客を招くための食べ物は何もない。買い物に出かけようと思ったが、今日は日曜日で、しかも午後なので、店はどこももう閉まっている。そこで配達してくれる三軒の店のどれかに注文しようと思ったら、電話が故障している。そのためにその日の夕食にその人を招くという試みは失敗におわった」[1]

 この夢では、まず最初に友人にご馳走したいという願望があります。その願望はまず、自宅の食品の品揃えの不足によって否定されます。これに対処するためには買い物にゆけばよいのですが、あいにくとその日は日曜日でした。実際に日曜日であるかどうかは問題ではなく、その人がその日が日曜日であることを思い出して、買い物にゆけなくなるというのが大切なのです。そして電話で注文しようとしても、電話が壊れています。

 このようにして、夢の主体の願望は、三回の欠如によって三たび否定されます。夢が願望の充足であるならば、その友人を迎えて楽しく食事をする夢をみるはずなのに、それが失敗に終わることばかり夢にみたわけです。少なくとも、この女性の患者は、自分の夢はフロイトの理論を反駁する実例だと考えて、その夢を物語ったのです。

フロイトに反駁するための夢

 しかしフロイトは負けていません。フロイトはその裏に別の願望をみいだしたのです。それはこの患者は、フロイトの理論を反駁したいという願望を抱いていたというのです。その願望のためにこのように、自分の普段の願望が否定された夢をみたいのだというわけです。「この夢の言おうとしたところは、〈先生(フロイト)が間違っている〉ということだった。つまり彼女の願いは、〈あなたのおっしゃることは間違っています〉ということにある。そしてこの願いを彼女の夢は彼女のためにかなえたのである」[2]と語っています。

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「夢は願望を充足するものか」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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