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夏休みの宿題は早めに

2014年8月8日(金)

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 毎年、この季節はちょっとだけ忙しい。
 「この季節」とは、「出版社や新聞社が夏休みに入る直前の一時期」のことで、具体的には8月の第1週を指す。

 出版の世界には、「お盆進行」「年末進行」「ゴールデンウィーク進行」という3つのイレギュラーなスケジュールが設定されていて、業界内の人間は、それぞれ、1週間程度の連続休暇を実現するべく、印刷所の停止期間から逆算したしわ寄せの作業を、順次、先取りしてこなす決まりになっている。

「しわ寄せは歩いて来ない」

 と、だから、古い出版人は、毎年この時期が来ると、歌ったのだと言う。

「だから走って行くんだよ」

 と。うそだけど。
 そんなわけで、現在私が直面している「お盆進行」は、前方から倒れこんで来る月刊誌の〆切と、夏休み特集向けのゆるふわ企画取材が重なって、なかなか油断のならない暑苦しい1週間を形成している次第だ。

 もうひとつ、盛夏のメディア業界には、「戦争回顧」という定番のならわしがある。
 これは、私が生まれる前から続いているものだ。

 祇園祭が終わると、花火が上がって、ねぶたが練り歩く。ほどなく、甲子園大会が始まり、戦争回顧がスタートする。これらは、いずれも、既に、日本の夏の風物詩として、われわれのDNAの中に組み込まれてしまっている。

 まず、カレンダーイベントが連続する。
 8月6日の広島原爆記念日に始まって、9日には長崎の原爆記念日が、15日には終戦記念日がやってくる。で、それぞれに付随する式典が開催される。これらのイベントについては、とにかく第一優先で伝えなければならない。

 セレモニーの進行に合わせて、新聞は、毎年、戦争回顧の特集記事を掲載することになっている。雑誌も、戦史見直しの企画を世に問うたり、古い証言を集めたりして、それぞれの特徴を訴える。

 テレビはテレビで、8月初旬から中旬にかけての1週間ほどの期間のために、半年以上前から、戦時ドラマや、空襲を扱ったドキュメンタリーや、遺族のインタビューを特集した番組を制作して、特番進行に備えている。

 読者や視聴者がどう受け止めるのかは、この際、たいした問題ではない。

 読まれていようがそうでなかろうが、視聴者に無視されていようが、戦争回顧は、何十年も続いてきた業界行事という意味で、簡単にやめるわけには行かない。なにしろ、現場のスケジューリングは、夏場の戦争回顧を織り込んだ形でフィックスされている。恒例の年間行事を取っ払ったら、職場のカレンダーが崩壊してしまう。

「戦争回顧の特番っていうのはね、オダジマ君」

 と、30年ほど前、とある放送局でアルバイトをしていた当時、関わっていた番組のえらい人がビールのついでに漏らした言葉を、私はいまでも覚えている

「局の人間が夏休みを取るために作られているんだよ」

コメント49

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「夏休みの宿題は早めに」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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川野 幸夫 ヤオコー会長