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雨の日と金曜日は

2014年9月12日(金)

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 50年ほど前に幼稚園を中退して以来、毎年9月は、スーパー無気力月間ということになっている。

 こういうことを書くと

「甘ったれるな」
「無気力になるのはあんたの勝手だが、そういう気分を他人に宣伝するな」
「仕事を何だと思っているのか」

 みたいなコメントが返ってくるはずだ。
 仕方のない反応だ。

 実際、9月は無気力です式のお話自体、半ば以上は自己暗示であるのだろうし、無気力月間という言い草にしたところで、その種の私製カレンダーを押し通している私自身の厚かましさの現れと言われれば、その通りなのかもしれないからだ。

 だから、
「なめんな」
 と、言いたくなる諸先生方の気持ちはとてもよくわかる。

 きっと、気合いを入れなおして、自分に喝を入れてかかれば、9月であろうと失恋明けであろうと、意識の高い一日を始めることができるのだろう。

 それでも、気力が湧かない時はどうしようもない。
 だから、酒をやめて以来、私は、自分の無気力と戦わないことにしている。

 無気力をねじ伏せるためには、相応の気力が必要で、無気力な時には、その気力が供給できないからだ。

 自分を甘やかさずに、丸一年を頑張りっぱなしで乗りきれるタイプの人は、そうすれば良いと思う。

 が、私はそういう性質の人間ではない。
 ダメな時は、適当にやらせてもらう。

 これは、思い込みに過ぎないのかもしれないが、私は、ある程度年齢の行った人間が鬱に陥るのは、自分の肉体が送ってくる無気力のサインを無視して、不必要に頑張ってしまうからなのだと考えている。

 何カ月かに一度、エアポケットみたいな気持ちの空白が訪れて、世間に流れているニュースにまるで興味が持てなくなる時がある。

 今回は、そのタイミングに当たっている。
 なので、こういう時はお天気の話をする。それが正しい対処法だ。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「雨の日と金曜日は」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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