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空を飛ぶ夢――類型夢(1)

夢をみる(8)

2014年9月18日(木)

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「わたし」の重層的な表現

 前回は、夢の中で空を自由に飛ぶ鷲に、夢の主体が自己を同一化する情動について、それを実存的に分析するという方法をご紹介しました。夢ではすべてのものが「わたし」と語っていることがあるのです。重い雲が垂れこめている風景は、その夢をみる人の心のありさまを象徴していると考えるのは、ごく自然なことでしょう。

 そのことをフロイトはおもしろい表現で説明しています。夢に登場するものはどれも圧縮の作用によって夢の主体のさまざまな観念や記憶が凝縮されたものとなっているのであり、それは「わたしが自分は何と健康な子供であったかと、わたしが考えるとき」という文章の「わたし」という語と同じようなものだというのです。最初の「わたし」は子供であったときのわたしですが、二番目の「わたし」は、成人になって子供の頃を回想している「わたし」です。

 夢の主体の「わたし」と夢に登場する〈わたし〉の違いについては前回ご説明しましたが、夢はその空間にいたるまで、夢をみる人が作りだすものとして、たとえその夢の中に「わたし」が登場していないとしても、その夢の主体のありかたを刻印しているのです。ですから夢について語るということは、その人の無意識のありかたを語るということでもあります。

空を飛ぶ夢

 このように夢の中では空を流れる雲から、空を飛ぶ鳥にいたるまで、「わたし」はさまざまな形で表現されますが、ここで夢の技法の考察の一つの手段として、いくつかの類型的な夢を考えてみましょう。夢にはさまざまな象徴的な表現が現れます。そうした夢の象徴的な表現を分類していくと、夢にはある種の類型のようなものがあることが分かります。たとえば空を飛ぶ夢があります。この夢は多くの人が見るようですが、飛行機などに乗って空を飛ぶ場合と、自分の力で空を飛ぶ場合では、その意味が異なるようです。

 一般に流布している多くの夢分析の書物では、空を自分の力で飛ぶ場合には、自由への憧れがあるというふうに分析しているようです。これはとても分かりやすい解読ですね。ぼくも自分で空を飛ぶ夢をみたときのあの解放感は忘れることができません。まるで鳥になったように、空から緑の豊かな景色を眺めると、日頃の細かな思いをすべて忘れさったかのように伸び伸びとするものです。

 こうした夢ではわたしたちは自分の全能感を味わうことができます。ぼくの場合には、空を飛ぶ夢に、飛び始めのプロセスと着地のプロセスが付随して、かなり複雑な夢になることが多いものです。飛び始めのプロセスでは、鳥がはばたくように一挙に空に飛び上がることができる場合と、何度も助走をつけて、何度も繰り返してからやっと飛べる場合があります。着地する場合にも、飛ぶ力が落ちて、まだ飛んでいたいのに、重力に引き寄せられて、しぶしぶと地面に降りる場合と、自分で着地する場所を選んで降りる場合があります。これらのそれぞれについて、自己認識の違いが明らかに示されているようで、夢を振り返りながら、自分の「疲労度」について考えることもあります。

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「空を飛ぶ夢――類型夢(1)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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