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試験に落ちる夢――類型夢(3)

夢をみる(10)

2014年10月2日(木)

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試験の夢

 類型夢というのは、とくに個人的な差異がなく、多くの人が見る夢ですが、フロイトが挙げている類型夢としてはさらに試験の夢があります。近代の社会は試験によって資格を確認し、適切な人材を適切な場所に配置することを重視していますから、多くの人にとって試験は、人生における重要な機会を意味しています。大学入試と、それに合格するかどうかが、人生において重要な岐路となることも、これまでは多かったのです。

 ヨーロッパでは、大学に入学する試験よりも、高校の卒業試験が重要な意味をもちます。高校の卒業試験というのは、大学への入学資格を調べる試験で、フランスではバカロレアと呼ばれていますし、ドイツではアビトゥアと呼ばれています。それでフロイトは「卒業試験を受けて高校の課程を終了した人は誰も、いつまでもしつこく試験を内容とする不安な夢を見る。試験に落第してもう一度原級を繰り返さなければならないという例の夢である」[1]というわけです。これも大学入試と同じですね。日本では入試に失敗すると、もう一年繰り返すのではなく、浪人するわけですが(しかし古い言葉ですね)。

 この種の夢はなかなかしつこくつきまとうものらしく、ぼくも時々見ることがあります。ぼくの場合には、落第するのが不安なのではなく、きちんと試験を受けられないという夢が多いようです。試験の会場に行く途中で、受験をするための必要な書類をもっていないことに気付いたとか、途中で交通機関に支障が生じて、遅刻する夢です。何かの待ち合わせに遅れてしまうという遅刻の夢も、試験の夢の変形と考えてよいでしょう。

 あるいは海外旅行をするために飛行場に向かっているとき、パスポートを自宅に忘れてきたような夢も、この夢の変形でしょう。忘却のために本来の目的がはたせなくなるのは、試験に落第するのと同じことを意味しているからです。また、自動車を運転していて、自分は免許を取得していなかったと気付くような夢も、これに含まれるのかもしれません。受けるべき試験を受けていなかったという夢ですから。どれも目が覚めて、ホッとするものです。ああ、夢でよかったと。

安堵のための夢

 この種の夢は実は、試験に落第することへの不安の夢ではなく、こうしたホッとしたい夢なのだという解釈もあります。フロイトのある友人は、試験の夢を見るのは、その試験に合格した人間だけだと主張しました。「翌日に何か責任ある仕事と、それに対して非難をこうむる可能性とが予測されるような場合にみる不安な試験夢は、そういうわけで、大きな不安が不当なものであったことが知れ、ことの成り行きによって不安が解消された」[2]ことを示すものだというのです。もう安心して自信をもってよいのだと、夢が教えくれるというのです。

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「試験に落ちる夢――類型夢(3)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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