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肉親の死ぬ夢――類型夢(5)

夢をみる(12)

2014年10月16日(木)

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第四の類型夢、肉親の死ぬ夢

 空を飛ぶ夢、試験に失敗する夢、裸で恥ずかしい思いをする夢に続いて、フロイトがあげている類型夢は肉親が死ぬ夢です。これはつらい夢ですよね。胸が張り裂けそうになる夢です。目覚めてからも、しばらく呆然としていたりします。

 もちろん肉親が死んでも悲しくない夢もあります。フロイトはそうした夢は、顕在的な内容のほかに、潜在的な内容を備えていて、そちらで夢の主体の願望がかなえられているために、悲しくないのだと説明しています。たとえばある若い女性が甥が死んで葬式に参列している夢をみたのに、少しも悲しくないと、不思議に思っていた例があげられています。フロイトが分析したところ、その女性は以前に、親族の葬式の場で、かつて愛していた人と出会ったことがあって、その人と再会したいとひそかに願っていたのです。葬式は甥の死を意味するのでなく、愛する人との再会のセレモニーを意味するのでした。

 フロイトが注目するのは、家族の一人が死んで、悲嘆に暮れる夢です。フロイトの夢の理論は、願望の充足にあるのですから、この夢は夢の主体がその人が死ぬことを望んでいるこということになります。しかし目覚めてからの悲嘆の思いは、そうした願望の存在を否定するものでしょう。無意識的に望んでいると言われれば、はたと考え込まざるをえないこともあるでしょうが、やはりそれは「ぬれぎぬ」と言わざるをえないことが多いものです。

年上の子供の嫉妬

 フロイトはこうした夢の源泉として第一に、幼年時代のひそかな願望を挙げています。わたしたちは幼い頃には、自分の欲望を純粋に表現することしかできません。他人の気持ちを思いやったりするのは、ある程度、成長してからできるようになることです。幼い子供には、他人の気持ちになって考えることは望めないのです。フロイトは「子供は絶対に利己的である。子供は自分の欲求を強烈に感じて、ことにその競争相手やほかの子供たち、それからまず第一に自分の兄弟姉妹にたいしては、何が何でもがむしゃらに自分の欲求を満足させようとする」[1]と指摘しています。

 フロイトはゲーテが子供時代に台所の窓から食器を放り投げて壊した記憶を語っているのを分析して、それが弟に対する嫉妬を表現していることを明らかにしました[2]。幼いゲーテは、新たに生まれてきた赤ん坊なんか、窓から放り投げてしまえと、考えていたらしいのです。弟や妹が生まれてくると、母親の愛情がそちらに取られてしまうのは明らかであり、子供たちはそのことをよく知っているものなのです。

末っ子の夢

 子供時代にこうした兄弟姉妹にたいする嫉妬の気持ちから、その死を願った記憶がずっと残っていて、それが成人してからも、肉親が死んだという夢をみさせる重要な原因なのだとフロイトは考えています。これは年上の子供たちだけには限りません。フロイトが分析したある女性は、肉親が死んだ夢は一度もみたことがありませんと言ってフロイトを驚かせたのですが、しばらく分析するうちにある夢をみたことを思い出したのです。彼女は末っ子だったのですが、夢の中で兄や姉や「いとこ」たちが「草原の上で飛んだり跳ねたりしている。突然みんなに羽根が生えて、飛び上がって、どこかへ行ってしまう」[3]という夢を幼い頃にみて、成人してからも繰り返しみるのだと語っていました。

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「肉親の死ぬ夢――類型夢(5)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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