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デフレの国に来る台風のインフレ化

2014年10月10日(金)

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 台風が接近しつつある。

 10月9日正午現在の気象庁の発表によると、台風19号のスペックは、中心気圧900hPa、中心付近の最大風速60m/s、暴風域は200km、強風域が北側500km南側330kmということになっている。

 なかなか印象鮮烈な数字だ。

 先週末から今週のはじめにかけて日本列島を通過した台風18号は、「過去10年の台風の中でも最大級の勢力」と言われていたわけだが、今回の19号は、さらに将来を嘱望されている。

 現段階では、「特別警報級の台風」という扱いが一般的だが、媒体によっては、「2014年に地球上で発生した最強の台風」ないしは「壊滅的被害を与えた『ハイエン』に匹敵する台風」ぐらいな言い方で、その規模と強度を喧伝している。なるほど。こっちの方が迫力がある。

 強さの表記でも、たとえばネットメディアは、単純な最大風速ではなくて、よりインパクトの強い「最大瞬間風速85m/s」の方を採用していたりする。

 昔からそうだが、東シナ海を北上中の台風については、五輪開催前のメダル予想と同じく、「可能性を最大に見積もった場合」の影響を基準に、さまざまな予測が展開されることになっている。

「このまま中心気圧を維持した状態で、最も東寄りのコースを取った場合」

 とかなんとか、われわれは、そういうお話が好きなのだ。

「ホンダさんが絶好調かつカワシマに神が降りてきてる状態で、なおかつファルカオとバッカのケガが治らず、雨上がりでショートパスがつながりやすい展開だったら、これはもしかすると……」

 と、私自身、ついしばらく前、そんな夢を見ていた気がする。

 それはそれとして、ここへきての気象に関する形容のインフレ化は、いかがなものなのだろうか。

 今年にはいってから、「特別警報」というワンランク上のスーパーグローバル警報が設定されたこともその気象関連用語誇大化傾向のあらわれだと言えば言えるし、今年になって気象情報の中に突如として登場するようになった「これまでに経験したことのないような大雨」という表現も、20世紀の天気予報では聞かれなかったタイプのフレーズだ。

 個人的には、「これまでに経験したことのないような」という言い回しの周囲に漂う文芸臭が気になっている。
 「気象ポエム」という感じがする。

「《これまでに経験したことのないような》って言うけど、その《経験》の主体はいったい誰なんだ?」
「《経験》である以上、個人差もあれば地域差もあるわけで、誰の《経験》とは特定できないだろ」
「だよな。それに《これまで》とひとくちに言っても、小学校5年生と57歳のおっさんじゃその総量がまるで違うし」
「97歳だと経験してても覚えてない可能性があるぞ」
「地域によっても異同があるしな。沖縄あたりと南関東じゃ大雨の基準自体が別だろ」
「っていうか、3年毎に全国を転勤移動してる銀行員とかの場合、どの町でどんな雨に降られたかいちいち覚えていられないんじゃないか?」
「まあ、晴れの日に傘を貸すのがあの人らの仕事だし」
「銀行員には雨が降らないのか?」

コメント37

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「デフレの国に来る台風のインフレ化」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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