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赤羽で“帝国の残照”を思う

2014年10月17日(金)

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 香港のデモは、始まった当初からなんとなく気になっている。
 なので、経過を伝えるニュースや背景について解説した記事には、必ず目を通すようにしている。

 で、私は、ここしばらく、香港通になっている。
 もっとも、香港の現状や歴史の多くを、デモが始まってからはじめて知ったということは、私が、それだけ、この都市について無知であったことの裏返しでもある。

 してみると、デモを企画した学生は、遠くはなれた異国に住む一介の市民である私に、香港の歴史と現状を知らしめたわけで、とすれば、彼らの試みが、この先、頓挫する形で終局を迎えるのだとしても、デモそのものは、無駄ではなかったことになる。

 いきなり失敗したデモ隊をなぐさめるみたいな書き出しになっているが、私の本意は彼らを慰謝するところにはない。
 私は、デモ隊の若い人たちに色々と勉強させてもらったと思っている。
 今回は、その、香港のデモ隊が教えてくれたことについて書くことにする。

 まず、立場をはっきりさせておく。
 私は、デモに集う若者たちを無条件で支持しているわけではない。

「民主化要求」
「デモ」
「学生」

 といったタイプの、うっかり前のめりになりそうなキーワードに警戒心を抱くようになったのは、たぶん、ネット論壇の影響だ。

 政治的なトピックについて、予断を抱いた態度で接すると、時に、手痛いしっぺ返しを食らうことになる。
 であるから私は、

「脱原発」
「エコロジー」
「住民自治」
「反差別」

 のような無条件に賛成してしまいたくなる述語を含んだキャッチフレーズに関しても、ある時期から、一定の留保をもって臨むようになっている。

 旗の色や、旗に書いてあるスローガンだけで、すべてを判断するのは危険だ。

 旗を掲げている人間の態度や、旗のもとに集まっている人々の来歴をひととおり当たってみるまでは、その旗が代表している運動についてうかつな態度表明はできない。

 臆病だと思われるかもしれないが、震災からこっちのこの3年ほどの間に、私は適切な臆病さを備えていなかったばかりに、しなくても良い火傷を負う羽目になった人たちをたくさん見てきた。

 単純な時代には単純な勇気が必要なのかもしれないが、単純に生きられない状況では、勇気よりもむしろ、臆病であることが人を助けてくれるものなのだ。

 1997年の7月の「香港返還」は、文字通り、英国に「割譲」されていた香港の主権が、中国に「返還」されたできごとを指す言葉で、形の上では、この時に、香港の人々は、主権を「回復」したことになる。

 ただ、現実に香港で暮らしていた人々が抱いた感慨は、「植民地支配から脱却した」というのとは少し違っている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「赤羽で“帝国の残照”を思う」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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