• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

フロイトのエディプス・コンプレックスの発見(2)

夢をみる(14)

2014年10月30日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

フロイトの第二の夢

 前回考察しましたように、フロイトは自分の夢を分析することで、自分のうちにエディプス・コンプレックスと名付けられるコンプレックスが存在することを自覚したのでした。第一の夢は、父親にかけられていた倒錯者という汚名を雪ぐものでした。この夢に続いて、フロイトは第二の夢をみています。その夢がどのようなものだったのか、その具体的な内容は、親しい友人だったフリース宛ての書簡では語られていません。友人に語るのがはばかられる内容の夢だったのです。

 しかしフロイトがそれについて語っていることから、その内容はほぼ想像することができます。フロイトはこの同じ書簡で、乳母について説明した後に、母親の裸体を目撃した経験について語っているからです。「後に(二歳と二歳半の間に)マトレム[母]にたいするぼくのリビドーが、それも母と一緒のライプチヒからウィーンへの旅をきっかけに目覚めたということ(この旅の途中でぼくは母と一緒に泊まったはずですし、母のヌーダム[裸体]をみる機会があったに違いありません)」[1]

 フロイトは言いにくいな言葉をラテン語にしていますが、ごく普通の言葉なので、あまり隠すことはできていません。手紙などで人に知られたくないことはラテン語にするというのは、よくある方法でした。余談ですが、三世紀頃のキリスト教のギリシア人の教父の著作の英訳本で、性的な事柄にかかわる話題は(子供に読まれたくないので)ギリシア語をラテン語に翻訳して刊行するということが、今でも行われています。

 この夢でフロイトは、母親にたいする自分の性愛的な欲望を自覚したのです。この性愛的な欲望は、子供の母親への愛着の強さとしてごく当然なものでもありますが、フロイトはこの欲望にある特別な意味をみいだすことなります。それは息子が自分の母親に抱く感情は、たんに子供の母親への愛着という一般的な感情ではなく、もっと強いもの、息子が、父親を排除してでも、母親との間で強い結びつきを実現したいと考えるコンプレックスであるということです。

エディプス・コンプレックス

 このように、第一の夢でフロイトは自分の父親への過剰な敵意の存在を自覚し、第二の夢で、自分の母親への過剰な愛情の存在を自覚したのです。この二つの夢で、フロイトのエディプス・コンプレックスの理論に必要な材料は集まったわけです。子供が父親に性的な倒錯の被害をうけたという記憶を抱いているのは、作られた記憶であり、子供はむしろ母親に強い性的な愛着を抱いていることが確認されたのです。

 ここで古代ギリシアのオイディプスの神話の重要な要素を確認しておきましょう。オイディプスの父親ライオスはテーバイの王でした。予言で、生まれてくる子供が自分を殺すだろうと告げられたので、王は子供の両足に穴をあけて、山奥に捨てさせます。幼児は隣国のコリントスの羊飼いに育てられ、王宮で国王を自分の父と信じて育ちます。しかし少年の頃に友人から捨て子だと罵倒されます。真実を知ろうとしてアポロンの神託を聞くために旅行していたときに傲慢な人物と出会って争い、殺してしまいます。それが父王であることを彼は知りません。

コメント0

「中山元の哲学カフェ」のバックナンバー

一覧

「フロイトのエディプス・コンプレックスの発見(2)」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もう中山素平のような人物が銀行の頭取という形で現れることはないだろう。

佐藤 康博 みずほフィナンシャルグループ社長