• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ペルソナと影の夢

夢をみる(17)

2014年11月20日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

ペルソナを脱ぐ夢

 このように、ペルソナはその人の社会的な役割を示すことで、他者とのつきあいかたを規制する役割をはたすものです。この仮面を外すことは、不安をもたらしますが、同時に新しい自分を発見するための重要な一歩となるものです。仮面は、わたしたちの顔にぴったりとはまっていて、他者とつきあう際にわたしたちを守ってくれるものですが、それがあまりに馴染むと、わたしたちは自分を失ってしまうことになります。自分の外面だけはしっかりとしていても、内面が空虚になってしまうのです。

 ですからペルソナを外すことは、新しい自分をみいだし、他者との新しいつきあいかたを作りだす可能性を秘めています。それだけにそのリスクも大きいのです。夢分析の書物からもう一つペルソナの夢を読んでみましょう。中年のサラリーマンがみた夢です。

「疲れ果てて寝室に入る。服を脱いで寝ようと思うが、腕が抜けずイライラしてくる。片腕だけパジャマを着ているが、もう片方は背広である。今度は両方とも抜けなくなり腹立てて引っ張ると、一張羅の背広が破れてビリビリになる」[1]。

 この人は会社や仕事でのつきあいにきっと疲れているのでしょう。せっかくくつろげる自宅に帰ったのだから、背広くらいは脱ぎたいですよね。ところが背広から腕が抜けないのです。拘束着のように、その人をしばりつけています。寝室でも会社人間であることから逃れられないかのようです。

 その人はイライラとして会社員の「制服」である背広を無理やり引っ張って、脱ごうとします。そしてそれを破ってしまったのです。この人は夢の中で解放感を覚えておらず、一張羅の背広の損失を感じていますので、仮面を脱いで本当の自分になりたいのに、それがかなわない、そして自分の大切な仮面まで壊れてしまうという厄介な状況に追い込まれています。

 この夢について分析者はこれが夢を見た人に警告を与える夢であると分析しています。「本当の自分を殺し、社会的な要請のみにこたえてばかりいると、それがいつの間にか、本当の自分に思えてきて、いざ本当の自分になろうとしても、そういう自分になることが不可能になることがあります。この夢は、そういう意味で警告夢ということができます」[2]というわけです。

ペルソナと影

 ペルソナと対照的な意味をもつ夢の像として、「影」の元型があります。「影」というのは、抑圧されて無意識のうちに送り込まれていて、意識されない自己の部分です。そしてペルソナとは対照的な姿をとって現れることが多いのです。これも夢の実例で考えてみましょう。若い女性がボーイフレンドから手紙が来ないので心配していたときにみた夢です。

コメント0

「中山元の哲学カフェ」のバックナンバー

一覧

「ペルソナと影の夢」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員