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夢における影の役割

夢をみる(18)

2014年11月27日(木)

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影の夢の実例

 さて、「影」はこのように、夢をみる人の隠された欲望を示すことが多いものですが、同時に、その夢を見る本人が抱えている問題を、こうした「影」の人物に投射して表現することも多いものです。前回にご紹介した姉の着物選びを手伝う女性の夢では、夢を見た女性は自分の影がペルソナをきちんとするのに困っているのを助けています。このことは、この女性が影とは別の意味で、ペルソナの問題に直面していたことを示すものです。

 別の実例を考えてみましょう。これはユングの分析の例で、四五歳の実業家がユングの分析を受け始めたときに見た夢です。ユングによるとこの人は「優れた知性と教養をそなえ、社会的にも成功しています。非常に礼儀正しく、愛想もいい人物です。結婚していて、子供も何人かいます」[1]という人物です。神経症的ではあっても、ほんらいなら分析を受ける必要がないような人物、社会的な地位もある立派な人物です。この人物が次のような夢を見ました。

 「私は一番末の妹の子供が病気だと聞いた。それから[その妹の夫である]義弟がやって来て私に、一緒に劇場に行き、その後に食事をしようと言った。私は食事を済ませていたが、彼に同行してもいいと思った。

 私たちは大きな部屋に到着した。部屋の中央に長い食卓があって、それはすでにしつらえられていた。その大きな部屋の四隅には、ベンチないしは座席の列が円形劇場のように並べられていたが、それらの椅子は背を食卓に向けて、反対向きに、置かれていた。私たちは腰を下ろした。私は義弟に、なぜ彼の妻が来ないのかと尋ねた。それから私は、たぶん彼らの娘が病気だからだろう、と思い、その子の容態を尋ねた。娘はずっとよくなって今ではちょっと熱があるだけだ、と義弟は答えた」[2]

元型的人物

 この夢では、夢を見た本人がとてもかわいがっていた末の妹が登場します。夢を見た人の説明によると、この末の妹が生んだ最初の子供は、二年前に赤痢で亡くなっています。彼はその子の名付け親であったこともあって、妹とともに、深い感情的な動揺を経験しています。そして妹とは、この子供の死を悼む心で、深い結びつきがある感じています。ところがこの妹とその夫(ここで義弟として登場する人物です)は、この夢の時点では遠い外国に住んでいて、今ではほとんどたがいに連絡しあわなくなっています。

 ですからこの妹とその夫は、この夢を見た人物にとっては象徴的なもの、すなわち元型としての意味をもっていると考えるべきなのです。ユングは、夢の中の人物が何を意味するかについて、現実の生活の状況に照らし合わせて考える必要があることを指摘しています。妹夫婦が夢を見た人の現実の生活に重要な意味をもっている場合には、それは現実の人物とみなすべきなのです。

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「夢における影の役割」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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