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万能兵器としての「環境」

2014年12月12日(金)

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 環境保護団体のグリーンピースが、世界遺産に指定されている「ナスカの地上絵」の立入禁止区域内で、環境保護を訴える運動を展開したのだそうで、その行為の是非が問われている(ソースはこちら)。

 記事が伝えるところでは、活動家たちは、地上絵の中でも特に有名な「ハチドリ」の絵のすぐ横に、英語で

「TIME FOR CHANGE !」(変革の時!)
「THE FUTURE IS RENEWABLE」(未来は回復できる)

 というメッセージを書いたようだ。

 「書いた」と言っても、地面に直接ペイントしたわけではない。メッセージは、地面の上に黄色いシートを広げる方法で描かれたもので、既に撤去されている。

 ただ、地上絵を保護する団体の発表によれば、シートを持ち込んだ活動家たちの足あとが地面に残ってしまったらしい。

 グリーンピースの今回のやり方は、非難されてしかるべきものだ。
 そもそも、世界遺産である「ナスカの地上絵」の周辺は、立ち入りが禁止されている。
 活動家は、注目度の高い世界遺産にメッセージを添えることで、温暖化への警告を発信したつもりなのだろう。
 しかし、言うまでもないことだが、目的が手段を正当化するわけではない。

 どんなに崇高な理念に基づいているのだとしても、不法侵入は不法侵入だ。それ以前に、世界遺産がある土地に文字を書くことは、それ自体が、環境破壊でさえあり得る。

 地上絵の周辺は、学者が研究のために立ち入る場合でも、地面に痕跡を残さないために、足回りを特別な装備で固めた上ではいるしきたりになっている。それを、今回、グリーンピースの活動家は、運動靴のままで踏み荒らしている。これは、弁解できない。実にバカな話だ。

 環境保護活動に限らず、なんであれ啓蒙的な運動は、一定量の独善を含んでいるものだ。
 今回の騒動は、その「独善」が、露骨なカタチで表面化したものだと思う。

 独善を含む運動は有害な運動で、だからそんな運動はやめるべきだ、と、そこまで言うつもりはない。
 運動が独善を含むのは、仕方のないことだ。

 というのも、人々の動員を志向する運動は、一面、個人的な独善や、集団的な独善を、公共的な道徳や正義に昇華させようとする運動でもあるからで、アタマから否定できる筋合いのものでもないからだ。

 が、動機の是非とは別に、極端な独善はなるべく早い時期に当事者に自覚された方がベターだし、できれば改善されることが望ましい。
 独善も、善意のエンジンになっているうちは良いのだが、規模が大きくなると、内部的な動機では済まなくなる。
 個人的には、「環境」という言葉に関連した運動は特に独善に傾きやすいと思っている。

コメント33

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「万能兵器としての「環境」」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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