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選挙事務所の向こうに甲子園が見える

2014年12月19日(金)

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 総選挙は与党の圧勝に終わった……という、選挙後に全マスコミが異口同音に繰り返しているこの言い方に、私は、この数日来、釈然としない気持ちを抱いている。

 たしかに、自民党と公明党の議席数を合算すれば、衆議院の総議席数の3分の2を上回るわけだから、これは「圧勝」と呼ぶほかにどうしようもないのかもしれない。

 が、別の見方をすれば、自民党の議席は291と、改選前から4つ減っている。
 ということは、「現状維持」だったというものの言い方も成立するはずなのだ。

 結局のところ、そもそも「圧勝」の状態から仕切り直しをした選挙戦が、戦う前と同じ「圧勝」の状態を維持する結果に落着したわけで、そういう意味では、「圧勝」も「現状維持」も、ともに表現として間違いではないといったあたりが、とりあえず、穏当な落とし所なのかもしれない。

 ただ、各メディアが今回の選挙結果を「圧勝」と評価し、安倍政権が「信任を得た」と報じている背景には、選挙前に安倍首相ご本人が、

「自公で過半数を割り込んだら辞任する」

 という言い方を通じて設定した「過半数」という不当に低い勝敗ラインを、報道各社が、事実上、丸呑みにしてしまったという事情がある。

 なんというのか、私の目には、大手メディアならびに有識者の皆さんが

「過半数が勝敗ラインなら、3分の2は圧勝だよね」

 という心理的詐術に、自らひっかかりに行っているように見えるのだ。

 つまり、有識者ならびにメディアはバカだ、と?
 まあ、そう申し上げてもかまわないのだが、ここでは別の見方をしておく。

 私が思うのは、メディア企業の社員や、テレビや新聞を通じて自分の見解を述べるコメンテーターや評論家には、誇り高い人物が多いということだ。

 彼らは、みっともないものの言い方をすることを嫌う。
 なんというのか、自分の考えていることを思っている通りに語るよりも、カッコ悪いものの言い方をしないことを重視しているように見えるのだ。

 3分の2の議席を確保した与党の圧勝に水を差す言説は、視聴者の側から観察していると、負け惜しみに聞こえる。あるいは、言いがかりをつけているように見える。

 専門家であればあるほど、そういう子供っぽいものの言い方は避けようとする。だから、彼らは、「圧勝」という言葉を使うことで、結果に対して素直な潔い自分を演出しにかかる……と、この言い方自体がひどく負け惜しみっぽく響いていることが否定しがたい事実であることはともかく、私はそう思っている。

 選挙前に「大義なき解散」という言い方で安倍さんの決断を批判していた人たちも、与党圧勝の結果をつきつけられると、意気地なく黙ってしまっている。

 どうして黙っているのだろうか。
 実際には、戦後最低の投票率に終わった今回の選挙戦の低調さは、彼らの言う「大義なき解散」という主張を裏付ける結果だったわけで、そう思えば、選挙後にもう一度、選挙前の話を蒸し返して、解散の是非を問う声をあげても良かったはずだ。

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「選挙事務所の向こうに甲子園が見える」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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