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ユーモアの大半はクズである

2015年1月16日(金)

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 あけましておめでとうございます。
 新年第1回目の更新分は、インフルエンザのためお休みをいただきました。

 無理のきかない年齢になってまいりました。いろいろなことがあります。
 待ち焦がれた読者を想定して休載を詫びてみせるのも、かえって傲慢な感じがいたしますので、なんとなくぬるーっとはじめることにいたしましょう。

 フランスでこの7日から連続して起きたテロ事件は、17人の死者を出す惨事になった。
 1週間を経てあらためて振り返ってみると、この事件が、これまでにない多様な問題を投げかける出来事だったことがわかる。
 表現の自由と宗教の尊厳の問題、宗教への冒涜とヘイトスピーチの関係、テロ警備と市民生活、多文化主義と移民の問題など、数え上げればきりがない。

 どれもこれも簡単に結論の出せる問題ではない。
 それ以前に、半端な知識や安易な態度で踏み込んではいけない話題なのかもしれない。
 なので、事件の核心部分については意気地無く黙ることにする。

 ここでは、「ユーモア」の話をする。
 あえてユーモアを主題に持ってきたのは、14日の朝日新聞に載った

《「犯人はユーモア失っていた」 仏紙風刺漫画家が会見》こちら

 という記事にとても考えさせられたからだ。

 会見の中で、風刺漫画家のラウド・ルジエさん(43)は、ユーモアについて以下のように語っている。

《最後に、報道陣から「この絵を描いたことで心配はないか」と質問が出ると、「ユーモアの知性を信じている。犯人はユーモアを失っていただけだ」と言い切った。》

 正直な話をすると、私は、ルジエ氏が何を言いたいのか、何を言っているのか、まったく了解できない。

 犯人がシャルリ・エブドのユーモアを理解しなかった点については、ルジエ氏が指摘している通りなのだと思う。

 でも、だとしても、ユーモアについての理解の有無とテロリズムは別の次元の話だ。
 新聞出版に携わっている人間であれば、どうしてこの程度のことがわからないのだろうか。

コメント117件コメント/レビュー

氏のユーモアがそうであったかどうかは措くとして、氏はユーモアを暴力と正反対のものではなく、”昇華された暴力””非暴力化された暴力”と考えていたのではないかと。フランスという文脈では本当にそうなのかもしれません。そして、昇華された暴力に対して昇華されない生の暴力で応じたことは野蛮であるといいたかった。氏は暴力をふるいたい欲動をフランスという文脈に適応する形で言語・絵画表現に昇華させたが、フランス文脈を共有しない人間には通じず素の暴力と同じと受け止められて報復を受けた。成功したユーモアが概念的には暴力をうまく昇華したものであるとは言えるかもしれません。具体的なそれが表現として通じる範囲は内輪に限られ、人類普遍に絶対化できるものでも聖化できるものでもなく、他文化を相手にかますのは愚だと思うものです。(2017/02/20 12:26)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「ユーモアの大半はクズである」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

氏のユーモアがそうであったかどうかは措くとして、氏はユーモアを暴力と正反対のものではなく、”昇華された暴力””非暴力化された暴力”と考えていたのではないかと。フランスという文脈では本当にそうなのかもしれません。そして、昇華された暴力に対して昇華されない生の暴力で応じたことは野蛮であるといいたかった。氏は暴力をふるいたい欲動をフランスという文脈に適応する形で言語・絵画表現に昇華させたが、フランス文脈を共有しない人間には通じず素の暴力と同じと受け止められて報復を受けた。成功したユーモアが概念的には暴力をうまく昇華したものであるとは言えるかもしれません。具体的なそれが表現として通じる範囲は内輪に限られ、人類普遍に絶対化できるものでも聖化できるものでもなく、他文化を相手にかますのは愚だと思うものです。(2017/02/20 12:26)

小田島さんらしいコラムでした。ユーモアも暴力も殺人もすべてはその人間に生きている文化の中で解されるもので、その解釈はその人間の価値観を通して重みづけられ、次の行動を決めるのでしょう。グローバル社会がどんどん浸透し、多様性が尊重されている中で、ジハードに究極の重み付けを行うムスリムの過激派をどう扱っていくのか、本当に難しい問題だと思います。もっともっといろいろな人が色々な角度からこの問題を論じるべきでしょう。(2015/01/20)

これからフランスでは多様性受容という言葉は使えません。またハラスメントという言葉も使えません。(2015/01/20)

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井上 礼之 ダイキン工業会長