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受験生の肩に雪が降る

2015年1月23日(金)

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 センター試験の日には雪が降ることが多い、と、私がなんとなくそんなふうに思っているのは、たぶん、気のせいだ。雪の降った年もあれば降らなかった年もある。なにも試験のタイミングを狙って天候が荒れるわけではない。

 にもかかわらず、センター試験と雪の間に特別な相関があるかのように感じるのは、センター試験当日の天気に過剰反応しているからで、つまり私は、この年齢になってなお、いまだに試験という機会や言葉に対して、神経質になっているということなのかもしれない。

 今回は、試験について書こうと思っている。

 念の為、原稿を書き始める前に自分のハードディスクを検索してみると、入試改革については、既に、当欄でも何度か触れている。

 ついでに申せば、私はどうやら、毎年、この時期になると、必ずや、試験についてあれこれ考えをめぐらせることになっている。で、憤ったり悲しんだりしつつ、まとまらない考えを書きなぐっては着地できずに転倒するみたいなことを繰り返している。

 なので今回は入試制度や教育政策の話は避けて、試験を受ける者の気分を中心に、身辺雑記を書いてみるつもりだ。着地はしないかもしれない。地べたから離れない以上、着地もへったくれもないわけだからして。

 試験について考える時、私自身もそうだが、わたくしども日本の大人は、冷静になれない。

 というのも、試験は、大人になる以前の私たちが、大人になるための試練として押し付けられていた重苦しい課題であった。にもかかわらず、大人になった時点からあらためて振り返ってみると、意味不明な苦行にしか見えない、どうにも不可解な記憶だからだ。

 毎年、この時期になると、近所にあるN能研という小学生向けの進学塾を中心として、周辺に、独特の緊張感が広がる。
 私は、その種の緊張感に感応しやすい体質なので、毎年緊張して、毎年、少しいやな気持ちになる。

 夜の9時を過ぎるとN能研に面した道路には、授業を終えた子供たちを送迎するために、エンジンをアイドリングにしたままのクルマの列ができる。

 10台ほど連なったクルマが吐き出す白い蒸気が、1月の夜空に吸い込まれて行くのを眺めながら、私は、向かいのコンビニで雑誌を買っていたりするわけなのだが、毎年、受験の季節が近づいて、マフラーを巻いた小学生がN能研の出入り口から出てくるのを見る度に、何の義理も無いのに、なぜなのか、息苦しい気持ちになる。自分が受験するのでなくても、子供たちの緊張感は、いやでも伝わってくる。運転席で待つ親の緊張感はさらに身近に胸をしめつける。あれは実にいやなものだ。

 受験シーズンを意識して、朝日新聞は、12月の中旬以降、週に2~3回の頻度で、「がんばれ!受験生」というインタビュー記事を掲載している。率直に語られる体験談が心にしみる好企画だ。で、毎回楽しみに愛読している次第なのだが、登場する語り手が10人を数えたあたりで、あることに気づいた。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「受験生の肩に雪が降る」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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